中国の省・自治区マップを公開しました
中国の省・自治区マップを公開しました。
中国大陸には31の省・自治区・直轄市があり、香港とマカオの2つの特別行政区を加えた33が中国の一級行政区分です。このページでは、中国語を学ぶうえで関わりの深い地域として台湾もあわせて取り上げています。地図の好きなところをクリックすると、その土地の簡称(車のナンバープレートでおなじみの漢字1文字)、省都、主に話される言葉、古い呼び名、歴史の概要をまとめて確認できます。
色は、その区分で代表的に話される言葉のグループを示した概略です。方言の境界と行政区分の境界は一致せず、同じ省の中でも地域によって話される言葉が変わります。
スマートフォンでは地図を横にスワイプすると、東部の省も大きく表示できます。
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該当する行政区分がありません。条件を変えてお試しください。
元・明・清の三王朝が都を置き、およそ七百年にわたって中国の中心であり続けた街です。もとは戦国時代の燕の都・薊があった土地で、元代にフビライがここを大都と名づけました。明代には紫禁城が築かれ、清代を経て現在の故宮として残っています。中華民国期に北平と呼ばれた時期もあり、いまの北京という名は「北の都」を意味します。街の名がそのまま歴史の層になっている、めずらしい都市です。
名物故宮(紫禁城)/万里の長城/頤和園/北京ダック
中国語ワンポイント儿化音(érhuàyīn)の本場です。標準語の手本とされますが、実際の北京のことばは儿化がさらに強く、「哪儿 (nǎr)/どこ」のように語尾が巻き舌になります。
明の永楽帝がこの地から兵を起こしたことにちなみ、「天子が渡った渡し場」を意味する天津という名がつきました。もとは直沽と呼ばれた河口の集落で、大運河と海運が交わる要地として栄えます。清末に開港して各国の租界が置かれたため、いまも旧租界の洋館が街並みに残っています。北京の外港として発展した歴史から、独特の下町文化と話芸が育ちました。かけあいの話芸である相声の本場としても知られています。
名物相声(かけあいの話芸)/五大道の洋館街/狗不理包子
中国語ワンポイント相声(相声 xiàngsheng)はテンポの速いかけあいの話芸で、天津はその本場です。歯切れのよい天津のことばは、リスニングの負荷を上げたいときのよい教材になります。
黄河の北にあることから河北と呼ばれます。春秋戦国時代には燕と趙という二つの国が置かれ、義に厚い人が多い土地として「燕趙の士」という言い方が生まれました。北京と天津を取り囲む位置にあり、古くから都を守る要でもありました。万里の長城が海に達する山海関、清の皇帝が夏を過ごした承徳の避暑山荘など、時代をまたぐ史跡が点在しています。簡称の「冀」は、古代の行政区分である冀州に由来します。
名物承徳避暑山荘/山海関/清東陵
中国語ワンポイント簡称の「冀 (jì)」は日常会話ではほとんど使わない字ですが、ナンバープレートでは毎日目にする一字です。地名専用の漢字を知っておくと、街の情報がぐっと読めるようになります。
太行山脈の西側にあることから山西と呼ばれます。春秋時代の晋という国があった土地で、簡称の「晋」もここから来ています。明清期には晋商と呼ばれる商人集団が全国に金融網を広げ、その富が平遥古城の町並みを今に残しました。大同の雲岡石窟、仏教の聖地である五台山など、石と木の建築遺産が豊富です。食では黒酢と麺料理が有名で、麺の種類の多さは中国のなかでも群を抜いています。
名物平遥古城/雲岡石窟/五台山/山西の黒酢
中国語ワンポイント「山西 (Shānxī)」と「陝西 (Shǎnxī)」は声調だけが違う紛らわしい組み合わせです。区別しにくいため、英語表記では陝西を Shaanxi と綴り分ける工夫がされています。
東西におよそ二千四百キロメートルにわたり、中国でもっとも横に長い行政区分です。北はモンゴル国と接し、東から西へ進むにつれて草原・砂漠・森林と景観が大きく移り変わります。区都のフフホトはモンゴル語で「青い城」を意味し、街の標識は中国語とモンゴル語が併記されています。遊牧に根ざした文化が色濃く、馬乳酒や羊肉料理、夏に開かれるナーダムという祭りが知られています。
名物フフホトの大召寺/ナーダム(夏の祭り)/羊肉のしゃぶしゃぶ
中国語ワンポイント「呼和浩特 (Hūhéhàotè)」のように、モンゴル語の音を漢字で写した地名が多い地域です。漢字の意味ではなく音から地名ができている例として、覚えておくと読み解きが楽になります。
遼河が流れることから遼寧と名づけられました。清朝はこの地から興り、都が置かれた瀋陽には北京の故宮より古い瀋陽故宮が残っています。当時の呼び名である盛京・奉天は、いまも歴史の文脈でよく登場します。近代以降は重工業の中心として発展し、港湾都市の大連は海に開かれた玄関口となりました。東北官話が話され、歯切れのよいテンポの速い話し方は中国のお笑い番組でもおなじみです。
名物瀋陽故宮/大連の海岸/東北料理
中国語ワンポイント東北官話は標準語に比較的近く、初学者にも聞き取りやすい方言です。中国のバラエティ番組でよく耳にするので、生きた中国語に慣れる入り口として向いています。
省名は満洲語の「吉林烏拉」に由来し、「川沿い」という意味をもちます。省都は長春ですが、省名と同じ吉林という都市も別に存在するため、混同しやすい省です。朝鮮半島とロシアに接し、延辺朝鮮族自治州では中国語と朝鮮語が併記されています。省の東南には長白山がそびえ、山頂の天池は火口にたまった湖として知られます。冬の寒さが厳しく、樹氷や氷雪の祭りが観光の目玉になっています。
名物長白山と天池/延辺の朝鮮族文化/冬の樹氷
中国語ワンポイント「延边 (Yánbiān)」では中国語と朝鮮語の標識が並びます。中国が多言語の国であることを、地名の表記そのものから実感できる地域です。
北の国境を流れる黒竜江(ロシア名アムール川)から名づけられました。中国でもっとも北、そしてもっとも東に位置し、冬にはマイナス三十度に達することもあります。省都ハルビンはロシアとの往来のなかで発展したため、聖ソフィア大聖堂などロシア風の建築が街に残っています。冬に開かれる氷雪大世界は氷の彫刻で世界に知られる祭典です。広大な平野は米や大豆を産する穀倉地帯でもあります。
名物ハルビン氷雪大世界/聖ソフィア大聖堂/中国有数の穀倉地帯
中国語ワンポイント「黑龙江 (Hēilóngjiāng)」は川の名がそのまま省名になった例です。簡称の「黑」は色の「くろ」と同じ字で、ナンバープレートでもこの一字が使われます。
「海に上る」と書く名は、かつてこの地の海沿いに置かれた集落の呼び名に由来します。もとは松江という漁業と綿織物の町でしたが、十九世紀の開港以降、各国の租界が置かれて急速に国際都市へと姿を変えました。外灘に並ぶ石造建築はその時代の名残です。話されることばは北方の官話ではなく呉語で、上海語は標準語とかなり異なります。中国の経済と流行の発信地として、いまも変化の速い街です。
名物外灘(バンド)/豫園/小籠包
中国語ワンポイント上海語は呉語に属し、標準語とは別系統です。上海語の「こんにちは」は「侬好」で、標準語の「你好 (nǐ hǎo)」とは語も音も異なります。同じ中国語でも別言語に近いことが実感できます。
省都の南京(かつての江寧)と蘇州から一字ずつ取って江蘇となりました。長江が東西に横切り、大運河が南北を貫くため、古くから水運で栄えた土地です。蘇州の庭園群は世界遺産に登録され、限られた敷地に山水を写し取る造園の技が凝縮されています。南京は六朝から明の初期にかけて都が置かれた古都です。北部では官話、南部では呉語が話され、一つの省のなかでことばが大きく変わります。
名物蘇州古典園林/南京城壁/揚州の朝の茶
中国語ワンポイント一つの省のなかで北は官話、南は呉語と系統が分かれます。「省が同じなら言葉も同じ」とは限らないことを示す、わかりやすい例です。
省内を流れる銭塘江の別名である「浙江」が、そのまま省名になりました。省都の杭州は南宋の都が置かれた街で、西湖の風景は数えきれないほどの詩に詠まれてきました。緑茶の名品である龍井茶の産地としても知られます。海に面した寧波や温州は商業の伝統が強く、世界各地の華僑にこの地の出身者が多いことでも知られています。話されるのは呉語で、地域ごとの差が大きいのが特徴です。
名物西湖/龍井茶/烏鎮の水郷
中国語ワンポイント「浙 (zhè)」は日常語ではまず使わない字ですが、地名としては頻出します。杭州の西湖は漢詩の題材として教科書にもよく登場するので、あわせて覚えると読解が楽になります。
安慶と徽州から一字ずつ取って安徽となりました。北は淮河の流れる平野、南は黄山を中心とする山地で、南北で風土が大きく異なります。水墨画のような黄山の景観は世界遺産に登録され、古くから画題として愛されてきました。徽州の商人は塩や茶で財を成し、白壁と黒瓦の民居が並ぶ集落を残しています。北部では官話、南部では呉語や徽語が話され、ことばの境界が省内を横切っています。
名物黄山/宏村・西逓の古民居/徽州料理
中国語ワンポイント簡称の「皖 (wǎn)」は難読字の代表格です。地名でしか使わない漢字をいくつか覚えておくと、ニュースの見出しが一気に読みやすくなります。
福州と建州から一字ずつ取って福建となりました。簡称の「閩」は、古代この地に暮らした人々を指す古い文字です。山が海に迫る地形のため集落が孤立しやすく、閩語は地域ごとの差がきわめて大きくなりました。土を固めて築いた円形の集合住宅である客家土楼は世界遺産に登録されています。烏龍茶の名産地であり、茶を少量ずつ淹れて味わう工夫茶の作法もこの地で育ちました。
名物客家土楼/武夷山/烏龍茶
中国語ワンポイント閩語は標準語と語彙も発音も大きく異なります。台湾で話される台湾語も閩語の系統なので、福建と台湾のことばは海をこえてつながっていることになります。
唐代の行政区分であった「江南西道」を縮めた名です。簡称の「贛」は、省内を流れる贛江から来ています。景徳鎮は千年以上にわたって磁器を焼き続けてきた町で、中国磁器の代名詞となりました。廬山は詩に詠まれ続けた名山で、山中では雲や霧に視界がさえぎられることで知られます。話されるのは贛語で、南部には客家語の地域も広がっており、ことばの多層性が見られる省です。
名物景徳鎮の磁器/廬山/三清山
中国語ワンポイント蘇軾の詩句「不识庐山真面目 (bù shí Lúshān zhēn miànmù)」は、日本語の「真面目」の語源ともいわれます。漢詩から日本語に入ったことばの一例です。
太行山脈の東にあることから山東と呼ばれます。春秋時代には斉と魯という国が置かれ、簡称の「鲁」はこの魯に由来します。曲阜は孔子が生まれた町で、儒教の総本山ともいえる孔廟が残っています。五岳の筆頭とされる泰山は、歴代の皇帝が天を祀った聖なる山でした。小麦を使った饅頭や麺が主食で、山東料理は中国四大料理の一つに数えられています。
名物曲阜の孔廟/泰山/青島のビール
中国語ワンポイント孔子(孔子 Kǒngzǐ)ゆかりの地です。四字熟語や故事成語には、この地で編まれた古典に由来するものが数多くあり、成語を学ぶときの背景知識になります。
黄河の南に位置し、中国文明が最初に花開いた中原と呼ばれる地域です。洛陽・開封・安陽など、複数の王朝が都を置いた古都が集まっています。少林寺は禅と武術の発祥の地として世界に知られ、龍門石窟の仏像群は世界遺産に登録されています。簡称の「豫」は古代の行政区分である豫州に由来します。人口が一億人に迫る規模をもち、ことばは中原官話が話されています。
名物少林寺/龍門石窟/殷墟
中国語ワンポイント成語「逐鹿中原 (zhú lù zhōngyuán)」の中原とは、この地域のことです。故事成語の舞台がどこなのかを知ると、意味が立体的に理解できるようになります。
洞庭湖の北にあることから湖北と呼ばれます。春秋戦国時代には楚の中心地であり、青銅器や漆器に独特の文化を残しました。省都の武漢は長江と漢江が合流する交通の要で、古くから「九省通衢」と呼ばれてきました。西部には長江三峡の雄大な景観が広がります。話されるのは西南官話で、朝食に麺を食べる習慣が根づき、胡麻だれをからめた熱乾麺は武漢を代表する一品です。
名物黄鶴楼/長江三峡/熱乾麺
中国語ワンポイント「热干面 (règānmiàn)」は武漢の朝の定番です。西南官話が話される地域で、標準語とは声調の体系が異なるため、同じ単語でも印象がかなり変わって聞こえます。
洞庭湖の南にあることから湖南と呼ばれます。簡称の「湘」は、省内を流れる湘江に由来します。切り立った石柱が林立する張家界の景観は世界遺産に登録され、映画の舞台のモデルにもなりました。洞庭湖のほとりに建つ岳陽楼は、名文とともに知られる楼閣です。湖南語(湘語)は官話と系統が異なり、標準語とはかなり違って聞こえることばです。
名物張家界/岳陽楼/臭豆腐
中国語ワンポイント唐辛子を多用する湖南料理は、四川のしびれる辛さとは違うまっすぐな辛さが持ち味です。「辣 (là)/辛い」という一字は、中国各地の食を語るときに欠かせません。
五嶺山脈の南に位置し、古くから嶺南と呼ばれてきた地域です。簡称の「粤」は、古代この地に暮らした人々を指す文字です。海に開かれた広州は唐代から国際貿易の港として栄え、いまも中国有数の商業都市であり続けています。話される粤語(広東語)は声調が多く、標準語とは別の言語といえるほど異なります。点心を少しずつ味わう飲茶の習慣は、この地から世界の中華街へと広がりました。
名物広州の飲茶/開平の楼閣(碉楼)/潮州料理
中国語ワンポイント粤語(広東語)は声調が六つ以上あり、四声の標準語とは別物です。「唔該/ありがとう・すみません」のように標準語にない語も多く、香港映画で耳にする音の多くはこちらです。
簡称の「桂」は桂林に由来し、桂林の川と奇峰が織りなす景観は「山水は天下に甲たり」と称えられてきました。石灰岩が雨に削られてできたカルスト地形が広がり、水墨画そのものの風景が実際に目の前に現れます。人口の多くを占めるチワン族は独自の言語をもち、標識には中国語とチワン文字が併記されています。米粉を使った桂林米粉は、朝食として広く親しまれている定番です。
名物桂林の山水/龍脊の棚田/桂林米粉
中国語ワンポイント「壮族 (Zhuàngzú)/チワン族」の文字が標識に並びます。民族名の漢字を知ると、中国が多くの民族から成り立っていることが地名の表記から見えてきます。
中国の最南端に位置する島の省で、全域が熱帯から亜熱帯に属します。簡称の「琼」は美しい玉を意味する字で、古くは瓊州と呼ばれていました。かつては都から遠く離れた土地とされ、詩人の蘇軾も晩年をこの島で過ごしています。いまでは三亜を中心にビーチリゾートとして発展しました。話される海南語は閩語の系統で、福建から海を渡った人々のことばが受け継がれたものです。
名物三亜のビーチ/五指山/文昌鶏
中国語ワンポイント簡称の「琼 (qióng)」は美しい玉を意味する字です。漢字一字が地名に選ばれるとき、その土地への評価や願いが込められていることがよくわかります。
山の斜面に街が積み重なる姿から「山城」と呼ばれます。長江と嘉陵江が合流する要地にあり、簡称の「渝」は嘉陵江の古い呼び名に由来します。南宋の皇帝がこの地で即位と改元を重ねたことから「慶びが重なる」という意味で重慶と名づけられました。一九九七年に四川省から分かれて直轄市となっています。しびれる辛さの火鍋は、川で働く人々の食事から広まったといわれています。
名物重慶火鍋/洪崖洞/大足石刻
中国語ワンポイント「重庆 (Chóngqìng)」の「重」は「かさなる」の意味で chóng と読みます。「おもい」の zhòng ではありません。一つの字が複数の読みをもつ多音字の代表例です。
四つの川という名は、宋代の行政区分であった「川峡四路」を縮めたものです。簡称は「川」ですが、三国志でおなじみの「蜀」も別称として広く使われています。四方を山に囲まれた盆地は肥沃で、古くから「天府の国」と呼ばれてきました。ジャイアントパンダの生息地としても世界に知られています。花椒のしびれと唐辛子の辛さを組み合わせた味つけは、この地が生んだ調理法です。
名物九寨溝/楽山大仏/ジャイアントパンダ/麻婆豆腐
中国語ワンポイント「麻辣 (málà)」の「麻」は舌がしびれる感覚を指します。日本語の「マーラー」はこの音をそのまま取り入れた語で、中国語が日本語に入った身近な例といえます。
高原と山地が省の大半を占め、「三日と晴れる日はなく、三里と平らな地はない」と言い習わされてきました。簡称は「贵」ですが、古い呼び名の「黔」も広く使われています。ミャオ族やプイ族など多くの民族が暮らし、銀細工や藍染めといった独自の工芸が受け継がれています。黄果樹瀑布は中国最大級の滝です。茅台鎮で造られる白酒は、中国を代表する酒として知られています。
名物黄果樹瀑布/西江ミャオ族の村/茅台酒
中国語ワンポイント成語「黔驴技穷 (qián lǘ jì qióng)/持ち技が尽きる」には、この地の古名「黔」が含まれています。成語のなかに地名が生きている好例です。
「雲の南」と書く名のとおり、雲南高原に広がる省です。簡称は「云」ですが、古い呼び名の「滇」も地名や料理名に多く残っています。二十を超える民族が暮らす中国でもっとも民族構成の多様な地域で、麗江古城や紅河の棚田は世界遺産に登録されています。茶と馬を運んだ交易路である茶馬古道の起点にあたり、プーアル茶の産地としても世界的に知られています。
名物麗江古城/元陽の棚田/プーアル茶/過橋米線
中国語ワンポイント「云南 (Yúnnán)」は「雲の南」と、漢字をそのまま読み解ける地名です。意味から成り立ちがわかる地名は覚えやすいので、語彙を増やす足がかりになります。
平均標高が四千メートルを超え、「世界の屋根」と呼ばれる高原地帯です。区都ラサに建つポタラ宮は世界遺産に登録され、丘の上にそびえる姿がこの地の象徴となっています。話されるチベット語は中国語とは系統の異なる言語で、独自の文字をもちます。標識や公文書はチベット語と中国語が併記されます。バター茶や麦焦がしのツァンパなど、高地の暮らしに根ざした食文化が受け継がれています。
名物ポタラ宮/大昭寺/ヤムドク湖
中国語ワンポイント「拉萨 (Lāsà)/ラサ」のように、チベット語の音を漢字で写した地名です。漢字が意味ではなく音を表すために使われる、外来語表記と同じしくみが働いています。
簡称は「陕」ですが、古い呼び名である「秦」も広く使われています。省都の西安はかつて長安と呼ばれ、周・秦・漢・唐など十を超える王朝が都を置いた地です。秦の始皇帝陵の兵馬俑は世界遺産に登録され、その規模で世界を驚かせました。シルクロードの東の起点であり、東西の文化が行き交った土地でもあります。小麦の文化圏で、幅の広い麺やパンに似た主食が親しまれています。
名物兵馬俑/大雁塔/ビャンビャン麺
中国語ワンポイント「陕西 (Shǎnxī)」は「山西 (Shānxī)」と声調だけが違います。声調を区別できているかを試す代表的なペアなので、発音練習の材料として使うと効果的です。
甘州と粛州から一字ずつ取って甘粛となりました。簡称は「甘」で、古い呼び名の「陇」も使われます。細長く伸びる河西回廊はシルクロードの幹線で、東西の隊商が行き交いました。西の端にある敦煌の莫高窟には、千年にわたって描き継がれた壁画と塑像が残り、世界遺産に登録されています。砂漠と草原、雪をいただく祁連山脈が一つの省のなかに並ぶ、変化に富んだ土地です。
名物敦煌莫高窟/嘉峪関/張掖の丹霞地形
中国語ワンポイントシルクロードは中国語で「丝绸之路 (sīchóu zhī lù)」といいます。「丝绸」は絹のことで、敦煌などの地名とセットで覚えると歴史記事が読みやすくなります。
中国最大の塩湖である青海湖から名づけられました。長江・黄河・メコン川という大河の源流がこの高原にあることから「中華水塔」とも呼ばれています。チベット高原の東北部にあたり、チベット語と中国語の両方が話されます。標高が高く人口密度は低いものの、面積は日本のおよそ二倍あります。塩湖の広がる茶卡や、青海湖を一周する自転車の旅が近年人気を集めています。
名物青海湖/茶卡塩湖/塔爾寺
中国語ワンポイント「青海 (Qīnghǎi)」の「青」は、青とも緑とも訳せる色を指します。「青菜 (qīngcài)」が緑の野菜を指すように、色の語彙が日本語とずれる好例です。
十一世紀から十三世紀にかけてこの地に栄えた西夏という国が、区名の由来になっています。区都の銀川の郊外には西夏王陵が残り、独自の文字を使った王国の面影を伝えています。人口の多くを占める回族はイスラム教を信仰し、モスクや清真料理が街の風景に溶け込んでいます。黄河が潤す平野は「塞上の江南」と称えられる穀倉地帯です。特産の枸杞は全国に流通しています。
名物西夏王陵/沙坡頭/枸杞(クコの実)
中国語ワンポイント「回族 (Huízú)」という民族名を知ると、街で見かける「清真 (qīngzhēn)」の表示がイスラム教の戒律に沿った食であることが読み取れるようになります。
中国最大の面積をもち、国土のおよそ六分の一を占めます。古くは西域と呼ばれ、シルクロードの隊商が天山山脈の南北を行き交いました。ウイグル語はテュルク系の言語で中国語とは系統が異なり、標識や公文書は両方の言語で表記されます。ぶどうやハミウリなど果物の産地として名高く、羊肉の串焼きや手延べ麺のラグマンといった食文化が根づいています。昼夜の寒暖差が大きい気候が果物の甘さを育てます。
名物天山天池/カシュガルの旧市街/ぶどう・ハミウリ
中国語ワンポイント「新疆 (Xīnjiāng)」の「新」は「あたらしい」と同じ字です。日常語の漢字が地名にも使われている例で、知っている字から地名を読み解く練習になります。
香港とマカオは特別行政区で、独自の法制度をもちます。どちらも広東語(粤語)が日常的に話され、文字は繁体字が使われています。
かつてこの地から香木が積み出されたことに由来するといわれる「香りの港」という名をもちます。十九世紀に開かれた港を起点に金融と貿易の街として発展しました。一九九七年に特別行政区となり、独自の法制度と通貨をもっています。狭い土地に高層ビルが林立する一方、面積の多くは緑地や離島が占めます。飲茶や茶餐廳の文化が根づき、映画や音楽を通じて広東語は世界に知られるようになりました。
名物ビクトリア・ハーバー/飲茶/茶餐廳
中国語ワンポイント日常語は粤語(広東語)で、文字は繁体字です。「香港 (Xiānggǎng)」は標準語の読みで、広東語では Hēung Góng に近い音になります。同じ漢字で音が変わる例です。
十六世紀にポルトガル人が居住を始め、東西の文化が長く混ざり合ってきた土地です。一九九九年に特別行政区となりました。歴史市街地区は世界遺産に登録され、聖ポール天主堂跡や石畳の広場にポルトガルの面影が色濃く残っています。中国語とポルトガル語が公用語で、日常的には粤語(広東語)が話されます。エッグタルトなど、二つの食文化が融合して生まれた名物も知られています。
名物聖ポール天主堂跡/セナド広場/エッグタルト
中国語ワンポイント「澳门 (Àomén)」の「澳」は入り江を指す字です。街の標識は中国語とポルトガル語が並び、二つの言語が日常のなかで共存している様子が見て取れます。
台湾では国語(標準中国語)のほか、台湾語(閩南語)や客家語が話されています。文字は繁体字で、発音記号にはピンインではなく注音符号が使われることが多いのが特徴です。車両のナンバープレートも中国大陸とは別の体系で、漢字1文字の簡称は使いません。
このページは、それぞれの土地の地理・言語・文化を紹介することを目的としています。政治的に特定の立場を取るものではありません。
亜熱帯から熱帯に属する島で、中央を高い山脈が南北に貫き、玉山は標高三千九百メートルを超えます。かつてポルトガル人が美しい島を意味する「福爾摩沙」と呼びました。日常的には国語(標準中国語)のほか、台湾語(閩南語)や客家語、各先住民族の言語が話されています。文字は繁体字を用い、発音記号にはピンインではなく注音符号が広く使われています。
名物台北101/九份/夜市/阿里山
中国語ワンポイント文字は繁体字で、発音記号には注音符号(ㄅㄆㄇㄈ)が広く使われます。簡体字とピンインで学んだ人にとっては、同じ中国語でも見た目が大きく変わる点が学びどころです。
中国のナンバープレートは、行政区分の「簡称」と呼ばれる漢字1文字から始まります。街で見かけた車がどこから来たのか、この1文字でわかります。四川省のように簡称が複数ある区分では、ナンバーに使われる字と、料理名や古典に残る別称が異なります。
| 簡称 | 行政区分 | ピンイン | 別称(ナンバーでは使わない) |
|---|---|---|---|
| 京 | 北京市 | Běijīng | |
| 津 | 天津市 | Tiānjīn | |
| 冀 | 河北省 | Héběi | |
| 晋 | 山西省 | Shānxī | |
| 蒙 | 内モンゴル自治区 | Nèiménggǔ | |
| 辽 | 遼寧省 | Liáoníng | |
| 吉 | 吉林省 | Jílín | |
| 黑 | 黒竜江省 | Hēilóngjiāng | |
| 沪 | 上海市 | Shànghǎi | |
| 苏 | 江蘇省 | Jiāngsū | |
| 浙 | 浙江省 | Zhèjiāng | |
| 皖 | 安徽省 | Ānhuī | |
| 闽 | 福建省 | Fújiàn | |
| 赣 | 江西省 | Jiāngxī | |
| 鲁 | 山東省 | Shāndōng | |
| 豫 | 河南省 | Hénán | |
| 鄂 | 湖北省 | Húběi | |
| 湘 | 湖南省 | Húnán | |
| 粤 | 広東省 | Guǎngdōng | |
| 桂 | 広西チワン族自治区 | Guǎngxī | |
| 琼 | 海南省 | Hǎinán | |
| 渝 | 重慶市 | Chóngqìng | |
| 川 | 四川省 | Sìchuān | 蜀 |
| 贵 | 貴州省 | Guìzhōu | 黔 |
| 云 | 雲南省 | Yúnnán | 滇 |
| 藏 | チベット自治区 | Xīzàng | |
| 陕 | 陝西省 | Shǎnxī | 秦 |
| 甘 | 甘粛省 | Gānsù | 陇 |
| 青 | 青海省 | Qīnghǎi | |
| 宁 | 寧夏回族自治区 | Níngxià | |
| 新 | 新疆ウイグル自治区 | Xīnjiāng | |
| 港 | 香港特別行政区 | Xiānggǎng | |
| 澳 | マカオ特別行政区 | Àomén |
三国志や漢詩に出てくる地名の多くは、いまの行政区分の古い呼び名です。現在の地図と重ねると、物語の舞台がどこだったのかが見えてきます。
標準語(普通話)は全国で通じますが、地域ごとの方言も日常的に使われています。上海の呉語、広東の粤語(広東語)、福建の閩語などは、発音も語彙も標準語とかなり異なり、聞いただけでは別の言語のように感じられます。
なお、方言の境界と行政区分の境界は一致しません。同じ省の中でも、地域によって話される言葉が変わることがあります。このページの「主な言語・方言」は、その区分で代表的に話される言葉を示したものとお考えください。
地図データ: Made with Natural Earth(パブリックドメイン)/人口の出典と基準年は各行政区分のカードに記載しています。面積は、全区分で基準のそろった一次資料をオンラインで確認できなかったため掲載していません。
地名の漢字ひとつにも、その土地の歴史と言葉の広がりが表れています。ネトチャイのマンツーマンレッスンなら、中国各地出身の講師から、その土地の言葉や文化を直接聞くことができます。
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