中国語の方言について徹底解説!

中国という一つの国について、日本では一言で「中国では」「中国って」というように話すこともありますが、正式には中華人民共和国という名のとおり、様々な民族と文化、習慣、方言などから一つの国を形成しています。今回はその中でも方言について詳しくご紹介していきます!

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もくじ
1、中国語とは
2、普通語について
3、代表する方言とは

(1)三大方言
(2)十大方

①北方語(ほっぽうご) 北京語など
②晋語(しんご) 太原語など
③呉語(ごご) 上海語など
④徽語(きご) 徽州語など
⑤贛語(かんご) 南昌語など
⑥湘語(しょうご) 長沙語など
⑦閩語(びんご) 福州語など
⑧客家語(はっかご) 梅州語など
⑨粤語(えつご) 広東語など
⑩平話(へいわ)
4、方言は多種多様
5、中国の民族をご紹介
6、まとめ

1、「中国語」とは

中国語を勉強しようとして教科書を探すときに、よく目にするのは、「中国語」「漢語」「中文」「普通語」「マンダリン」といった言葉です。一概に中国語といっても、色々な言い方があるのだなと思って、どの言葉も自由に使っているとそれはときに大きな歪を生んでしまう可能性のある誤った理解です。それぞれ意味が異なりますので、中国語の方言をご紹介する前に、知識としてこれらの違いを理解しておきましょう!

漢語・・・漢語は「汉语hanyu」と表記します。漢民族の言葉です。中国には少数民族が56ありますが、そのうちの一つの民族が漢民族です。漢民族は人口の約91%となっており、「汉语hanyu」=中国語であると認識している方も少なくないのではないでしょうか。

中文・・・「中文zhongwen」は日本語の「中国語」に一番近いニュアンスの言葉です。中国の言葉の総称で、話し言葉や書き言葉の中でよく用いられます。

普通語・・・「普通话putonghua」は漢語の「標準語」のことです。漢語といっても、これからご紹介するたくさんの方言があります。その中でも、北京語がもとになって作られたのが標準語の「普通话putonghua」です。ですので、北京語と普通語は正確には一緒ではありません。

✅マンダリン・・・一般的には、北京語をもとに作られた標準語を指す英語(Mandarin)です。Japaneseは「日本語」ですね、Chineseは「中国語」となりますが、Mandarinは「中国語の標準語」ということになります。

2、普通語について

さて、普通語についてもう少し詳しく説明をします。日本でも沖縄弁と関西弁が全く違うように、中国でも方言がたくさんあり、しかも違いは沖縄弁と関西弁以上の違いがあります。もう全く他の言語と言っても過言ではないくらいに、違う言葉となります。例えば、上海語と広東語は全く違いますよね。普通語は、中国にいるとニュースなどでよく聞く言葉です。北京語をもとにして作られた標準語のことで、このような方言が全く違う中国全土で用いられています。

もともとは、1955年に人民政府が北方方言を基礎に公用語として法律に定めたことが始まりで、このときに「普通话putonghua」という名前で呼ばれるようになりました。ただし、もちろんそれ以前はみんながそれぞれに各方言を使って話をしていたのかというと、そうではありません。明や清の時代に官話とよばれる官吏が使っていた共通語があったことが知られています。

北京語=普通語と考えている人もいるかもしれませんが、こちらの2つは違いがありますので注意をしましょう。以前中国の上海で仕事をしていたときに、北京の人と話す機会がありました。私はてっきりニュースで話しているようなはっきりとした普通語を話してくるのだと思い、自分の勉強していたいわゆる「汉语」の「普通话」の中国語でも通じるし聞き取ることができると思っていました。ところが、実際にその人と会ったときに、衝撃を受けました。はじめは、何を言っているのかよく分かりませんでした。舌をまくような言い回しをたくさんしながら話し、普通語よりも流れるような中国語だったので、聞き取ることができるようになるまで時間がかかりました。例えば、

「どこに行くの?」
□(普通語)你去哪里?    
□(北京語)你去哪那?   ér  

というように、違いがあります。北京にすでに住んでいたり留学していた人ならば北京語にも慣れていると思います。しかし、私の場合は上海で長年生活していましたので、はじめて北京語を聞いたときにはびっくりしました!

3、代表する方言とは

それでは、中国の方言について詳しく紹介していきましょう!正確にいうと、漢語(汉语)の方言を今回はご紹介します。もちろん、中国は多民族国家ですので、それぞれの民族にも言葉があることは知っておきましょう。

以下は、中国漢語方言の地図です。中国には、色々な方言がありますが、もちろんこの地図の色の通りによって言葉が違うというのは、これは大きな範囲での定義となります。例えば、黄色の「呉語(吴语wuyu)」には上海も蘇州も寧波も含まれていますが、実は寧波の友人が寧波の言葉は上海とは少し違うと話をしていました。ですので、もう少し細かく言えばこのような色分けでは表記できないほどの方言があるということです。ただし、今回は大きな範囲での方言の違いをご紹介したいと思います。

ちなみに、方言は中国語で

✅「方言fāng yán

といいます、また例えば日本語の「東北弁」の「弁」は

✅「话huà」といいます
(「上海語」ならば、「上海话shàng hǎi huà」となります)。

地图分享 http://ditu.yjdy.org/より

中国漢語方言図(中国汉语方言图)
・ライトグリーン&濃いピンク&黄緑→北方語(ほっぽうご)官語(かんわ)区分 北方方言běi fāng fāng yán
・オレンジ→晋語(しんご)晋语jìn 
・黄色→呉語(ごご)吴语 
・あずき色→徽語(きご)徽语huī 
・肌色→贛語(かんご)赣语gàn 
・濃い紫→湘語(しょうご)湘语xiāng 
・水色→閩語(びんご)闽语mǐn 
・紫→客家語(はっかご)客家语 jiā 
・濃い緑→粤語(えつご)粤语yuè 
・緑み灰色→平話(へいわ)平语píng 

(1)三大方言

三大方言として、北京語、上海語、広東語が有名です。これらの三大方言は、上記の地図の区分とは違い、単に中国語の中でも有名な言葉のことです。よく方言の違いを表すときに例であげられたりしますね。

北京語(北京话)北方語の一部谢谢你 シェシェニー
上海語(上海话)呉語の一部谢谢你 シャジャノン
広東語(广东话)粤語の一部多谢 ドーチェー
広州の街の様子

(2)十大方言

①北方語(ほっぽうご) 北京語など

地図のライトグリーン&濃いピンク&黄緑の部分です。北方語(ほっぽうご)は官語(かんわ)区分の部分すべてとなります。官話とは、北方方言のことで、明や清の時代にはすでに存在していた政治の中で使われる共通語のようなものでした。普通語に近いものをイメージしてもらうとよいと思います。
官話区分は中国に広く分布しており、主に北方地区、西北地区と南方の西南地区、江淮地区(江蘇省中部、安徽省中部)および広西北部、湖南の北部と東南部、江西の沿江地区に分布しています(一般的に8種類あります:東北官話、膠遼(こうりょう)官話、北京官話、冀魯(きろ)官話、中原官話、江淮(こうわい)官話、蘭銀(らんぎん)官話、西南官話)。北京語、天津語、西安語、南京語などがあります。母語話者の数が一番多いのも特徴です。

   

②晋語(しんご) 太原語など

地図のオレンジの地域で話されるのが、晋語(しんご)です。晋語は中国北部で唯一の非官話方言です。晋語の使用人口は約6305万人で、主な使用地区は山西省、内モンゴル自治区中西部、陝西省北部、河南省黄河以北の大部分、河北省西部です。地理環境が比較的に閉鎖的で、晋語が北方で比較的に独特なのにはそのような要因もあるようです。ほとんどの晋語には5つの声調があり、一部の地域には6つ、7つ、または4つの声調があるといわれています。中国の方言の中でも古語が多く残っています。

   

③呉語(ごご) 上海語など

地図の黄色の地域の方言です。呉語は呉、越の故地の方言で、呉越文化の血脈とつながり、歴史があります。呉語は江東語、江南語、江浙語、呉越語とも呼ばれています。使用人口は9000万人超です。上海、蘇州、寧波や安徽などの地域を含みます。

   

④徽語(きご) 徽州語など

あずき色の地域で話されている方言で、呉語圏の隣に位置しています。徽語の使用人口は400万人以上で、黄山市の中の県を中心に分布しています。歙県(しょうけん)語、績渓(せきけい)語、休寧(きゅうねい)語、黟県(いけん)語、祁門(きもん)語、婺源(ぶげん)語の6種類の方言区があります。徽語は呉語及び贛語と比べて、両者の特色を備えている方言で、例えば子音は贛語に近く、母音は南部呉語に近いといわれています。

黄山

   

⑤贛語(かんご) 南昌語など

地図の肌色の地域の方言で、贛語の使用人口は約5500万人です。使用人口は江西省内に多く、主に贛江(かんこう)の中下流、撫河(ぶが)流域と鄱陽湖(はようこ)流域およびその周辺、湘東と福建西北、安徽西南、湖北東部と湘西南などの地区に分布しています。南昌話、撫州話、宜春(ぎしゅん)話などが代表的な方言です。

   

⑥湘語(しょうご) 長沙語など

濃い紫の地域で話されている方言です。湘語は新湘語と老湘語に分けられ、新湘語は長沙話が代表的な方言で、老湘語は婁底双峰話(婁底市双峰県とうていしそうほうけん)が代表的な方言です。主に中国大陸湖南省の相当部分の地区に分布し、長沙、婁底、株洲、湘潭、岳陽、益陽、衡陽、邵陽、永州などを含んでいます。使用人口は約4500万人です。湖南省は方言が複雑な地域で、湘語、西南官話、贛語、客家語などたくさんの方言が分布しています。

   

⑦閩語(びんご) 福州語など

水色の地域で話されている方言です。閩語の使用人口は7000万人を超え、主に福建に分布し、浙江南部、台湾、広東と海南及び海外にも分布しています。閩というのは、10世紀の中国五代十国時代に福建省付近を中心に存在した国の名前です。閩語は各閩方言の総称で、閩北語、閩南語、閩東語、閩中語、莆仙語などがあります。

   

⑧客家語(はっかご) 梅州語など

紫の色の地域で話されている方言です。客家と聞くと有名なのは福建土楼ですね、これは客家人全体の習慣ではなく、一部山間の客家人の習慣だそうです。中国の近現代の歴史の中の主要な歴史的人物で客家出身の人も少なくありません。
客家語は梅州語、恵陽語、恵州語、河源語、贛南語、汀州語、韶関語などに分けられます。また、中国台湾でも話されている地域があります。主に広東の梅州、恵州、深セン、河源、韶関に分布しています、海外でも用いられていることがあり、全世界で約6500万人が使用しているといわれています。

土楼

   

⑨粤語(えつご) 広東語など

濃い緑の地域で話されている方言です。広東語、広府語、白話とも呼ばれています。中国南部の広東中西部、広西南東部および香港、マカオと東南アジアの一部の国または地域、および海外の華人コミュニティで広く使用されています。広東語は訛りによる広州語、香港語、マカオ語、仏山話、東莞話、辜古話などがあります。使用している人口は約4000万人で、加えて広西広東語の使用人数は約1200万人、香港は700万人、マカオは55万人です。中国では1億2000万人が広東語を母語としています。

   

⑩平話(へいわ)

緑み灰色の地域で話されている方言です。ただし、中国語のどの方言に属するかはまだ定説がなく、広東語に分類される場合もあります。使用人口は200万人以上といわれています。柳州市を境に、平話を桂北平話と桂南平話に分けられます。平話は主に広西地区の鉄道、河川などの交通線付近の都市近郊、集鎮と農村に分布し、都市部には一般的に集中的な分布はありません。また、雲南省文山チワン族ミャオ族自治州の富寧県などでも一部の人が平話を使っているそうです。

※百度百科語言文化を参照にしております。

4、方言は多種多様

実際に、どのような違いがあるのかをご紹介します!例えば、「こんにちは」の「你好」は各地域の方言でどのように発音されるのでしょうか。

北京語(北京话 běi jīng huà) ニーハオ
太原語(太原话 tài yuán huà)ニューホ
上海語(上海话 shàng hǎi huà)ノンホー
南昌語(南昌话 nán chāng huà)ヌンホウ、ヘイホウ
長沙語(长沙话 cháng shā huà)ウーホウ
福州語(福州话 fú zhōu huà)リーホー
梅州語(梅州话 méi zhōu huà)(ン)ニーホウ
広東語(广东话 guǎng dōng huà)ネイホー

興味のある人は、ぜひ動画で見てください!本当に何を話しているのかさっぱり分からない方言がたくさんです!しかも、同じ中国人の中でも、分からないというのですから、日本がこれだけ方言があることから考えると、もっと広い中国では通じないことも多いでしょう。

5、中国の民族についてご紹介

これまで紹介してきた方言は、漢民族の使う漢語の方言です。現在の中国の普通語は漢民族の言葉ですので、その他の民族の言葉もぜひご紹介したいと思います!中国には56の民族があります。そのうちの一つが漢族(漢民族)で人口の91%ともいわれています。ですので、その他の民族は少数民族といわれています。回族、チベット族、イ族、朝鮮族、ミャオ族、満州族、モンゴル族の人口が比較的多く、内モンゴル自治区やその周辺で生活するオロチョン族は8000人程度といわれています。

もちろん、この55の少数民族にもそれぞれに言葉があります。例えば、回族(huizu)は中国語を用いますが、イスラム教徒が多く、イスラムに関わるアラビア語、ペルシア語、テュルク語に由来する語彙をもっているといわれています。また、モンゴル族はモンゴル語を、朝鮮族は朝鮮語を学び話します。上海で以前一緒に仕事をしていた人が朝鮮族の人で、その人は、朝鮮語、日本語、中国語の普通語などを話すことができる人でした。聞くと、学校では中国語の普通語以外に朝鮮語を勉強する時間もあるそうです。しかも、家に帰ると家庭では朝鮮語で話をするわけですから、普通語に加えて韓国語もよく理解されていたという印象があります。学校のシステムも普通の漢民族の学校とは違う場合があるそうです。

雲南の少数民族の様子

6、まとめ

さて、これまでたくさんの中国の言葉についてご紹介してきました。方言だけでなく、民族によっても言葉が異なります。日本では方言の話で盛り上がることがありますが、同じように中国でも方言の違いについて話すことがあります。留学や駐在員の方、そして中国語を勉強している方は、少し方言を知っていると現地の人と会話がはずみ、より仲良くなる機会を得ることができるかもしれませんね!


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