第15課 結果補語と数量補語
今回は、結果補語と数量補語をご紹介します。中国語には、動詞や形容詞をさらに詳しく説明するような「補語」というものがあります。これをうまく使いこなすことができるようになると、より一層中国語の作文能力や会話力もアップしますよ!少し難しいですが、ぜひ学んでいきましょう!
もくじ
1、結果補語について
(1)結果補語とは
(2)よく使われる結果補語の動詞と形容詞
2、結果補語の肯定文
3、結果補語の否定文
4、結果補語の疑問文
5、数量補語について
(1)動量補語
(2)時量補語
(3)差量補語
ポイントはここだ!
1、結果補語について
中国語の結果補語とは、動詞の後にその結果としての動詞や形容詞をもう一つおいたものです。「動詞+結果補語」で一つの動詞のような形でよく用いられます。結果補語には動詞や形容詞の中でも様々な種類があります。
ここでは主に、
□結果補語とはどのようなものがあるのか
□結果補語の使い方
□結果補語の否定文や疑問文
を紹介します。
(1)結果補語とは
中国語の結果補語とは、その名の通り、動詞の後にその結果としての動詞や形容詞をもう一つおいたもののことを言います。
例えば、「吃了」は食べたですね。これだけだと、「食べた」という行為になります。「吃」のあとに「饱」という「お腹がいっぱいである」という形容詞を置くと、「吃饱了」となり、「食べてお腹いっぱいになった」という意味になります。この場合、「饱」が結果補語となります。
このように、中国語では動詞と結果を分けて考えるため、結果補語を用いて動詞の構造を作り、「食べて」さらに「お腹がいっぱいになった」という結果補語の意味の方がより強くなります。
文法: 動詞+結果補語 |
wǒ chī bǎo le 。 我吃饱了。 | 食べてお腹いっぱいになった。 |
wǒ tīng dǒng le 。 我听懂了。 | 聞いて理解した。 |
✓結果補語の事前知識
①基本形は「動詞+結果補語(動詞や形容詞)」
②結果補語にもいろいろな種類があり、意味にも違いがある
③結果補語の意味あいが強くなる
④結果補語の文章の場合、行為+結果なので、動詞の部分が結果補語の因果関係になっていることも多い。
(2)よく使われる結果補語の動詞と形容詞
中国語の結果補語の使い方を説明する前に、結果補語の色々な種類についてご紹介します。主に、動詞の結果補語と、形容詞の結果補語があります。それぞれ、動詞にくっつけることで、その行為に対してどうなったかを表しますが、意味は違ってきますので、微妙なニュアンスの違いにも注意しましょう。
結果補語①
到(到達する) | 学到 | 学んで至る |
懂(理解する) | 听懂 | 聞いて理解する |
见(見る) | 看见 | (見て見える)見かける、目に入る |
完(終わる) | 卖完 | 完売する |
给(あげる) | 送给 | 送ってあげる、送ってもらう |
住(固定する) | 记住 | 記憶する、覚える |
掉(なくす、なくなる) | 卖掉 | 売り払う |
走(離れる) | 带走 | 持って行く |
結果補語②
好(できあがる) | 做好 | ~しあがる、作りあがる |
错(間違える) | 写错 | 書き間違える |
清楚(はっきりと) | 说清楚 | はっきり言う |
饱(お腹がいっぱいである) | 吃饱 | お腹がいっぱい |
够(足りている) | 睡够 | 寝すぎ |
光(すっかりなくなる、~しつくす) | 花光 | すっかりなくなる |
結果補語の動詞「在」について
「在」には、位置を表す前置詞ような役割もあれば、それ自体が動詞としても活用できます。今回は、結果補語として、動詞の「在」は用いることができます。
她住在哪里?⇒「住む(動詞)+在(そこに落ち着く)」
彼女はどこに住んでいるの?
2、結果補語の肯定文
それでは、結果補語の使い方について説明していきます。基本形は、「動詞+結果補語」です。この形がある種動詞フレーズのような形で、様々な中国語文に出てきます。
もう一つのポイントとして、よく「了」と一緒に用いられます。これは、動詞が結果補語とくっつくことで、行為が終わったこと(完了したこと)を表す場合が多いからです。
文法: 主語+動詞+結果補語 (+了) |
nǐ yào de shāng pǐn kě néng yǐ jīng dū mài wán le 。 你要的商品可能已经都卖完了。 | ほしい商品はもう全部売り切れたかもしれない。 |
wǒ tīng jiàn nǐ de shēng yīn jiù huì ān xīn 。 我听见你的声音就会安心。 | あなたの声を聞くと安心します。 |
目的語を持つ場合
動詞に目的語がある場合は、動詞と目的語の間に結果補語が入ります。例えば、「吃完饭」で「食事を食べ終える」という意味になります。
3、結果補語の否定文
中国語のこの結果補語の否定文では、「没(有)」を用います。よく一緒にくっついている「了」は結果が完了していないので、つけないことが多いです。また、結果補語の否定文の場合は、「まだ~しおえていない」のように、「还没」という中国語を使うこともよくあります。
文法: 没(有)+動詞+結果補語 |
shén me yě méi kàn jiàn 。 什么也没看见。 | 何も見えてこなかった。 |
bān jiā de zhǔn bèi huán méi zuò hǎo 。 搬家的准备还没做好。 | 引っ越しの準備はまだできていません。 |
結果補語の文でも否定の「不」を用いるとき
結果補語の文でも「不」がある場合があります。これは、結果補語のその結果(完了したこと)に対しての否定ではなく、その前にある動詞自体を否定するときに使います。
4、結果補語の疑問文
結果補語を疑問文にするときには、文末に「吗」をつける諾否疑問文と、文末に「没有」をつけるものがあります。
文法1: 動詞+結果補語+(了)+吗? |
nǐ zuó tiān shuì gòu le má ? 你昨天睡够了吗? | 昨日はよく眠れましたか? |
nǐ zhè běn shū kàn wán le má ? 你这本书看完了吗? | この本読み終わりましたか? |
文法2: 動詞+結果補語+了+没有? |
nǐ zuó tiān shuì gòu le méi yǒu ? 你昨天睡够了没有? | 昨日はよく眠れましたか? |
nǐ zhè běn shū kàn wán le méi yǒu ? 你这本书看完了没有? | この本読み終わりましたか? |
5、数量補語について
動詞のあとに、どの行為の回数や時間を表す「数+量詞」を数量補語といいます。数量補語には、動量補語、時量補語、差量補語の3種類があります。特に、目的語の違いで語順が異なってきますので、注意しましょう。また、動詞の前にくる単なる日付や時間とは違うことも理解しておきましょう。
数量補語の種類には、以下のようなものがあります。
動量補語…動く行為の回数
時量補語…動く行為の継続、経過時間
差量補語…比較の差の量
また、動詞の前にくる数や日時との違いも理解しておきましょう。動詞の前に来るのは、動詞の行為があった時点の話です。動詞の後にくるのは、その動作の内容について詳しく述べられているので、今回はこの動詞の後にくる数+量詞を数量補語として紹介します。
動詞の前
□我今天去学校。(今日は学校に行く。)
□下周开始上课。(次週から学校がはじまる。)
動詞の後
■这本书读了三遍。(この本を3回読んだ。)
■就今天见了她两次。(今日だけで彼女と2回会った。)
(1)動量補語
動量補語は、どれだけの数その動作を行ったかを表します。動詞の後に、数と動量詞を置き、動量補語となります。
動量補語に用いられる量詞には、主に以下のようなものがあります。
回(huí) | 動作行為の回数 |
次(cì) | 動作行為の回数 |
顿(dùn) | 食べる、しかる、たたく回数 |
下(xià) | 瞬間的又はちょっとした行為の回数 |
遍(biàn) | 動作行為のはじめから終わりまでを数える |
趟(tàng) | 往復する回数 |
场(cháng) | 災害、場面、試合などの回数 |
文法:動詞+動量補語(数+動量詞) |
nǐ zài shuō yī biàn hǎo má ? 你再说一遍好吗? | もう一度言ってもらってよいですか? |
hǎo xiàng xià le yī chǎng yǔ 。 好像下了一场雨。 | 一雨降ったみたいだ。 |
語順に注意しましょう
動量補語の場合、文の中の目的語によって、その語順は変わってきます。目的語がどこにあるのか、どのような目的語なのかを見極めないといけません。
①一般名詞の目的語
食べ物、飲み物、会議など目的語が一般名詞の場合、語順は以下の通りになります。
文法1:動詞+動量補語+目的語 |
wǒ měi tiān zǎo shàng yī dìng yào hē yī bēi hóng chá 。 我每天早上一定要喝一杯红茶。 | 私は毎朝必ず紅茶を一杯飲む。 |
wǒ kàn le sān biàn zhè bù diàn yǐng 。 我看了三遍这部电影。 | 私はこの映画を3回も見た。 |
②人名や地名の目的語
目的語が、東京、日本などのように地名や人名の場合は、目的語が動量補語の前に来ても後ろにきても、以下どちらでも大丈夫です。
文法2:動詞+動量補語+目的語 |
文法3:動詞+目的語+動量補語 |
wǒ qù guò liǎng cì rì běn 。 我去过两次日本。 | わたしは日本に2回行ったことがある。 |
wǒ qù guò rì běn liǎng cì 。 我去过日本两次 。 | わたしは日本に2回行ったことがある。 |
③目的語が代名詞
目的語が、彼、彼女などのように代名詞の場合は、以下のような語順になります。
文法4:動詞+目的語+動量補語 |
wǒ jīn tiān jiù kàn le tā sān cì 。 我今天就看了他三次。 | 今日だけで彼を3回も見た。 |
wǒ jiàn guò tā yī cì 。 我见过她一次。 | 彼女には1回会ったことがある。 |
④動詞が離合詞(動詞と目的語が一つの動詞のようにいなっているもの)
離合詞の場合は、その離合詞の間に動量補語が入りますが、補語というよりは、離合詞の間にはいると一つのフレーズのようになります。
wǒ gēn tā jiàn guò yī cì miàn 。 我跟她见过一次面。 | 彼女には1回会ったことがある。 |
wǒ jié guò liǎng cì hūn 。 我结过两次婚。 | 2回結婚した。 |
目的語が前にくるときは
目的語が前にくるときには、目的語+動詞+動量補語となります。
⇒这本书读了三遍。
(2)時量補語
時量補語は、その動作の継続について表したものです。例えば、「日本語を3年勉強している」と言う場合、この「3年」が時量補語となります。時量補語は、数とその時間の単位で表されます。また、継続と経過によっても使い方が異なります。
時量補語には、主に以下のようなものがあります。
一个小时 | 1時間 |
一天 | 1日 |
一分钟 | 1分間 |
两个月 | 2か月(間) |
三年 | 3年(間) |
継続している状態
動作がその時量補語の間の中で、継続している(継続した)状態のことをいいます。そのようなときには、目的語によって語順を考えなくてはなりません。
①目的語が一般名詞
目的語が一般物ならば、動詞を2回使うことになります。1回目の動詞は目的語について何をしたか、そして2回目の動詞はその行為がどれだけの長さ行われたかについて書かれています。
文法1: 動詞+目的語+動詞+時量補語 |
wǒ xué rì yǔ xué le liǎng nián 。 我学日语学了两年。 | 日本語を2年勉強しています。 |
wǒ kàn bào zhǐ kàn le yí gè xiǎo shí 。 我看报纸看了一个小时。 | 新聞を1時間読んだ。 |
さらに、単に動詞+時量補語+目的語としても表すことができます。文法1の1回目の動詞を省略することで、目的語の位置が変わります。
文法2: 動詞+時量補語+(的)+目的語 |
wǒ xué le liǎng nián rì yǔ 。 我学了两年日语。 | 日本語を2年勉強しました。 |
wǒ kàn le yí gè xiǎo shí de bào zhǐ 。 我看了一个小时的报纸。 | 新聞を1時間読んだ。 |
②目的語が代名詞
目的語が、彼、彼女のように代名詞の場合は、動詞のあとするに目的語がきます。
文法3: 動詞+目的語+時量補語 |
děng le tā yí gè xiǎo shí 。 等了她一个小时。 | 彼女を1時間待った。 |
wǒ kān guǎn le tā yī tiān 。 我看管了他一天。 | 彼を1日監視した。 |
経過している状態
「経過」というのは、ひとときの動作が終わってもなお経過している時間のことをいいます。例えば、「私は日本語を勉強して3年になる。」といったことです。この場合、動詞のあとに目的語がきて、最後に時量補語がきます。
文法:動詞+目的語+時量補語 |
wǒ fān yì zhè běn shū yī nián le 。 我翻译这本书一年了。 | この本を翻訳して1年になる。 |
tā qù měi guó yī nián le 。 他去美国一年了。 | 彼はアメリカに行って1年になる。 |
(3)差量補語
差量補語とは、比較の文章で用いられることが多く、その差がどのくらいあるかを表します。ですので、何についてどのくらいの差があるのかを比較するため、大きい、小さい、多い、少ない、高い、安いなどの形容詞と一緒に用いられます。差量補語は、数とその差の単位で表されます。
文法:形容詞+差量補語 |
gē gē bǐ wǒ gāo yī diǎn 。 哥哥比我高一点。 | 兄は私より背が少し高い。 |
zhè běn shū bǐ nà běn shū pián yí 1000 rì yuán 。 这本书比那本书便宜1000日元。 | この本はあの本より1000円安い。 |
結果補語について
1、結果補語は、動詞+結果補語が基本形で、動詞のあとについて、その動詞の完了や結果などを表す。結果補語には動詞と形容詞があり、意味もそれぞれ違う。
2、否定文は、動詞の前に「没(有)」を置き、「了」はつけない。疑問文では、文末「吗」を置く諾否疑問文と、文末に「没(有)」をおく形がある。
数量補語について
1、数量補語には、動詞のあとに動量補語、時量補語、差量補語などをおき、その動作の継続や経過、内容を表す。
2、基本形は、動詞+数量補語だが、目的語の要素によって、目的語の位置や語順がことなる。