第8課 介詞
ここでは、介詞を勉強していきましょう!中国語の介詞は、日本語の助詞や英語の前置詞のようなもので、様々な種類があります。正しく使いこなすことができれば、きれいな中国語を書いたり、話したりすることができます。中国語の大切な品詞の一つですので、ぜひしっかりとマスターしましょう!
もくじ
1、主な介詞と用法
(1)場所・方向を表す介詞
(2)対象を表す介詞
(3)手段・処置を表す介詞
(4)原因・理由を表す介詞
2、介詞フレーズ
(1)肯定文の作り方
(2)否定文の作り方
(3)疑問文の作り方
3、介詞と動詞の比較
ポイントはここだ!
1、主な介詞と用法
中国語の品詞の一つに、介詞というものがあります。これは、日本語の助詞「~で」「~に対して」のようなもので、英語の「at」や「in」の前置詞に似ています。中国語では、介詞+目的語で介詞フレーズを作り、動詞の前に置きます。
介詞フレーズを見ていく前に、まずは中国語の介詞の種類について説明します。中国語にはたくさんの介詞があります。場所、方向、対象、原因など目的語と介詞フレーズを作り意味をなします。ただし、例えば、「在」という介詞ですが、これは所有を意味する動詞の「在」と全く同じです。文の中で介詞か動詞かを判断しなければならないことに注意しましょう。
(1)場所・方向を表す介詞
場所・方向を表す介詞には、主に以下のようなものがあります。場所や方向を表す介詞は、本当によく出てきますし、介詞の中でも基本中の基本です。
介詞 | 意味 | 例 |
zài 在 | 場所を表す 「~で」 | zài diàn yǐng yuàn kàn diàn yǐng 。 在电影院看电影。 (映画館で映画を見る。) |
dào 到 | 場所への到達点を表す 「~まで」「~で」 | wǒ men míng tiān xià wǔ dào shàng hǎi 。 我们明天下午到上海。 (わたしたちは明日の午後上海に到着する。) |
cóng 从 | 起点を表す 「~から」「~より」 | tā cóng měi guó huí lái le 。 他从美国回来了。 (彼はアメリカから帰ってきた。) |
lí 离 | 二点間距離のへだたりを表す 「~から」 | nǐ jiā lí gōng sī yuǎn bù yuǎn ? 你家离公司远不远? (お家は会社から遠いか。) |
wǎng 往 | 動作の「方向」を表す 「~に向かって」「~の方へ」 | yì zhí wǎng qián zǒu 。 一直往前走。 (まっすぐ前に行ってください。) |
「从」と「离」の違い
この2つは、どちらも「~から」と訳すことができますが、意味が違います。
「从」…起点を表す
「离」…二点間距離のへだたりを表す
という違いがあります。つまり、「从」の場合は、「我从大阪回来了。」のように出発点や起点といった「あるポイント点」から「帰ってきた」や「出発する」などの意味があります。「离」は「我家离学校远。(家から学校までが遠い)」のように二点間の「あいだ」を表します。また、「离」は後ろに「遠い」「近い」などの形容詞がくることが多いです。
この2つは、主に距離や時間に使われることが多いですが、違いをしっかりと覚えておきましょう。
(2)対象を表す介詞
対象を表す介詞とは、行動の対象となる相手や対象となる事柄があるということです。
介詞 | 意味 | 例 |
gěi 给 | 使役や対象を表す 「~させる」「~させてあげる」 「~に対して」 | zhè běn shū nǐ kàn wán le jiù gěi wǒ kàn kàn。 这本书你看完了就给我看看。 (その本を読み終わったら私に見せて。) |
gēn 跟 | 行為の対象を表す 「~と」 | wǒ gēn nǐ yī qǐ qù。 我跟你一起去。 (私はあなたと一緒に行きます。) |
hé 和 | 行為の対象を表す 「~と」 | hòu tiān wǒ hé tā yī qǐ qù kàn diàn yǐng。 后天我和她一起去看电影。 (彼はアメリカから帰ってきた。) |
duì 对 | 対象を表す 「~に対して」 | tā duì péng yǒu hěn rè qíng。 他对朋友很热情。 (彼は友達に対して親切だ。) |
ràng 让 bèi 被 | 受け身 「~される」 | wǒ de qián bāo bèi xiǎo tōu tōu le。 我的钱包被小偷偷了。 (泥棒に財布を盗まれた。) |
wèi le 为了 | 目的を表す 「~のために」 | wǒ wèi le chéng gōng zài zuò。 我为了成功在做。 (成功するためにやっている。) |
「跟」と「和」の違い
この2つは、どちらも行為の対象者を表して「~と」と訳します。英語で言う「and」「with」のような感じですね。ただし、微妙なニュアンスの違いがあります。例えば、Aさんと一緒に何かをするとしましょう。意味合いとしては、「和」の方が単なる「その人と」ということを表し、「跟」は「その人と何をするか」ことに重点が置いている感じです。
「和」…和A動詞
「跟」…跟A動詞
(3)手段・処置を表す介詞
手段・処置の介詞とは、目的語を使って、もしくは目的語を処置する(何かをする、どうにかするというイメージ)介詞のことです。
介詞 | 意味 | 例 |
bǎ 把 jiāng 将 | 処置を表す 「~を」 | nǐ yào bǎ zhè gè wèn tí jiě jué。 你要把这个问题解决。 (この問題を解決してくれ。) |
yòng 用 | 手段や方法を表す 「~で」 | wǒ yòng zhōng wén xiě xìn。 我用中文写信。 (中国語で手紙を書く。) |
(4)原因・理由を表す介詞
原因・理由を表す介詞は、目的語が理由や原因で何かがあったことを意味します。
介詞 | 意味 | 例 |
yīn wèi 因为 | 原因・理由を表す 「~のために」「~が理由で」 | tā yīn wèi gōng zuò bù néng lái le。 他因为工作不能来了。 (彼は仕事で来れなくなった。) |
yóu yú 由于 | 原因・理由を表す 「~によって」 | yóu yú jīng jì de fā zhǎn, gǎi shàn le shēng huó。 由于经济的发展、改善了生活。 (経済発展により、生活が改善した。) |
その他の介詞
その他にも、よく使われる介詞として、以下のようなものがあります。「根据」は根拠を表すため、よくニュースなどで目にします。「通过」は一般的に広く用いられています。日本語の「~を通じて」「~によって」と同じように使います。
「根据」
「通过」 …過程を表す ~を通して
2、介詞フレーズ
中国語の介詞は目的語と一緒になって「介詞フレーズ」をつくり、状況語として、場所、時間、原因、対象等を表す働きをします。介詞フレーズとして、使い方を覚えておくと、他の文章にも応用できますので、例えば「不在家」のようにフレーズごと覚えてしまいましょう。
それでは、実際に文章の中でどのように使われるのか、介詞フレーズとしてみていきましょう。
(1)肯定文の作り方
肯定文は、主語+介詞フレーズがあり、そのあとに動詞を置きます。「~で~をしている」「~に~をする」など分かりやすい文法となっています、
文法: 主語+介詞フレーズ(状況語)+動詞 |
wǒ zài gōng sī gōng zuò 。 我在公司工作。 | 私は会社で仕事をしている。 |
wǒ gěi nǐ dǎ diàn huà 。 我给你打电话。 | 私はあなたに電話します。 |
副詞の位置について
介詞の文は、主語+介詞フレーズ+動詞(+目的語)が基本の形ですが、ここに副詞を入れるとなると、介詞フレーズの前に置きます。例えば、「我给你打电话」に「はやめに」という副詞を入れましょう。「我快给你打电话。」のようになります。
(2)否定文の作り方
介詞の否定文では、「不bù 」を用います。介詞フレーズの前に否定形を表す「不」を置きます。
文法: 主語+不bù+介詞フレーズ(状況語)+動詞 |
tā bú zài jiā 。 他不在家。 | 彼は家にいません。 |
wǒ bù gēn tā jié hūn 。 我不跟他结婚。 | 私は彼とは結婚しません。 |
(3)疑問文の作り方
疑問文の作り方は色々あります。以下3通りをご紹介します。それぞれ中国語の疑問文の基本の形ですので、覚えておきましょう。
介詞疑問文の作り方は
諾否疑問文…「吗」を用いる
反復疑問文…動詞や形容詞を繰り返しす
疑問詞疑問文…疑問詞を用いる
諾否疑問文
諾否疑問文は、他の文でもよく用いられます。最後に「吗」をくっつけます。日本語の「~か」のようなイメージです。
文法: 主語+介詞(状況語)+動詞(+目的語)+吗ma? |
tā cóng měi guó huí lái le mɑ ? 他从美国回来了吗? | 彼はアメリカから帰ってきましたか? |
nǐ dào zhōng guó qù lǚ yóu le mɑ ? 你到中国去旅游了吗? | 中国に旅行に行きましたか? |
反復疑問文
反復疑問文では、動詞や形容詞を繰り返して疑問文を作ります。この疑問文の言い方も中国ではよく使われます。
文法: 主語+介詞(状況語)+動詞(形容词)・不・動詞(形容詞)? |
nǐ zài jiā chī fàn bù chī fàn ? 你在家吃饭不吃饭? | あなたは家でご飯を食べますか? |
疑問詞疑問文
介詞の疑問詞疑問文は、「どこ」「誰」「どの」などの聞きたい疑問詞を、肯定文で置く場所と同じ場所に置きます。例えば、「他从日本回来的。」の日本という国を質問したい場合(どこから)、「他从哪里回来的?」と「从」の後に疑問詞を置きます。介詞の疑問文が分からない場合は、まずは肯定文を作ってみるとよいでしょう。
tā cóng nǎ lǐ huí lái de ? 他从哪里回来的? | 彼はどこから帰ってきたの? |
nǐ zài nǎ jiā yín háng gōng zuò ? 你在哪家银行工作? | あなたはどの銀行で仕事をしていますか? |
3、介詞と動詞の比較
介詞には動詞から転化・虚化したものが数多く存在します。介詞が動詞として使われることもあります。介詞から覚えてしまうと、その介詞が動詞としてどのように使わているのか正しく知らず、日本語訳がよく分からないことになってしまします。介詞には動詞としての使われ方もあるということを頭に置いておきましょう。
動詞として使われている例 | 介詞として使われる例 |
tā zài gōng sī 。 他在公司。 (彼は会社にいます。) | tā zài gōng sī gōng zuò 。 他在公司工作。 (彼は会社で働いています。) |
jiě jie gěi wǒ yī fú 。 姐姐给我衣服 。 (姉は私に洋服をくれます。) | wǒ gěi jiě jie zuò fàn 。 我给姐姐做饭。 (私は姉のために料理を作る。) |
wǒ de fáng jiān cháo nán 。 我的房间朝南。 (私の部屋は南向きです。) | dà mén cháo běi kāi 。 大门朝北开。 (正門は北に開いている。) |
wǒ men jiā duì zhe chāo shì 。 我们家对着超市。 (家はスーパーの方を向いている。) | tā duì wǒ shuō : “ nǐ hǎo ! ” 。 他对我说: “ 你 好! ” 。 (彼は私に「こんにちは」と言います。) |
介詞はときに接続詞や補語にもなる!
介詞は主に動詞との混同が注意するポイントですが、実はある介詞は接続詞にもなり、ある介詞は補語にもなります。例えば、「我和他都是学生(私と彼は学生です)」の場合、「和」は接続詞となります。また、「我找到钱包了((探していた)お財布が見つかった)」のときの「到」は補語となります。
介詞について
1、介詞には色々な種類があります。日本語の助詞のような働きをします。
2、同じような介詞がたくさんありますが、微妙にニュアンスが違いますので、注意しましょう!
介詞フレーズについて
1、介詞は、目的語と一緒になって介詞フレーズを作ります。
2、介詞の基本は、「主語+介詞フレーズ(状況語)+動詞」です。否定文では介詞の前に「不」おきます。疑問文には「吗」をつけるものと、反復疑問文と疑問詞疑問文があります。
2、介詞フレーズは状況語です。状況語とは、文章の中で場所や時、対象などを表す言葉のことで、品詞ではありません。
介詞が他の品詞になることについて
1、同じ漢字でも、介詞としても動詞としても使われることがあります。
2、ある介詞は動詞以外にも、接続詞や補語にもなります。