第13課 経験相と将然相

今回は、経験と将然の中国語の文法の形を紹介します。経験は、「~したことがある」、将然は「もうする~する」「これから~しよう」などの将来の状態を表す助詞のことです。このような中国語を使うことができるだけで、会話の幅がグンと広がりますね!

もくじ
1、経験相の「过」について
2、経験相の肯定文
(1)基本の文型
(2)副詞と一緒に用いられるとき
3、経験相の否定文
4、経験相の疑問文
5、終結・完了の「过」について
(1)基本の文型
(2)否定文の作り方
(3)疑問文の作り方
6、将然相(要…了)
(1)基本の文型
(2)疑問文の作り方
ポイントはここだ!

1、経験相の「过」について

1、経験相の「过」とは

中国語で「~したことがある」という経験を表すときには、「过guò」という助詞を用います。文型がありますので、動詞や数量詞などと用いられるときには、どのような語順になるのかしっかり覚えておきましょう。

      

中国語の経験相を表す「过guò」は、

■肯定文…「~したことがある」
■否定文…「~したことがない」「~したことがなかった」
■疑問文…「~したことがありますか

というように文章を作ることができます。

wǒ qù guò zhōng guó 。
我去过中国。
中国に行ったことがあります。
wǒ chī guò yuè nán cài 。
我吃过越南菜。
ベトナム料理を食べたことがあります。

経験の「过guò」の文には、「只」「从」などと一緒に用いられることもありますので、文のなかの副詞にも注目しておきましょう。

wǒ zhī qù guò yī cì rì běn 。
我只去过一次日本。
日本に一度しか行ったことがない。

さらに、「过guò」には、「了」と一緒に用いて動作の終結や完了を表す意味もありますので、経験か終結・完了か、どちらの意味になるのかは、文章の中で判断しなければなりません。

    

2、経験相の肯定文

(1)基本の文型

過去の経験したことのある行為について、「~したことがある」と言う場合、中国語では助詞の「过guò」を用いて表します。数量詞が入っていない場合には、動詞の後に「过guò」を置きます。「~したことがある」という経験を表す文章では、過去のことであったとしても完了の「了」を入れることはしません。ただし、助詞の「过」には様々な使い方がありますので、経験以外の意味では「了」と一緒に用いられることもあります。

経験の意味の場合
〇我去过中国。
×我去过了中国。

文章が動作の完了を表す場合
〇我们吃过饭了。(私たちはご飯を済ませたよ。)

文法1:主語+動詞 + 过 + (目的語)
wǒ qù guò běi hǎi dào 。
我去北海道。
北海道に行ったことがある。
wǒ xué le 1 nián rì yǔ 。
我看那部电影。
その映画は見たことがあるな。

数量詞が入っている場合、例えば「私は2回中国に行ったことがある」のような文書の場合は、「过guò」と目的語の間に数量を入れて文章を作ります。

文法2:主語+動詞 + 过 +数量詞+ (目的語)
wǒ qù guò liǎng cì shàng hǎi 。
我去过两次上海。
私は2回上海に行ったことがある。
wǒ nòng huài guò liǎng cì diàn nǎo 。
我弄坏过两次电脑。
私は2回パソコンを壊したことがある。

(2)副詞と一緒に用いられるとき

経験の助詞「过」とよく一緒に用いられる副詞として、「只」や「曾经」「从来」があります。副詞ですので、動詞の前に置いて、その動詞の意味を修飾します。

「只zhī」…1度しか~したことがない
「曾经céng jīng」…かつて
「从来cóng lái」…これまでに※多くは否定形とともに

文法:主語+副詞+動詞(動詞フレーズ)+过+目的語
wǒ zhī qù guò yī cì rì běn 。
一次日本。
私は日本に一度しか訪れたことがない。
wǒ céng jīng chū bǎn guò yī běn shū 。
曾经出版一本书。
私はかつて本を出版したことがある。
wǒ cóng lái méi yǒu fū qī chǎo jià guò 。
从来没有夫妻吵架
私はこれまでに一度も夫婦喧嘩をしたことがない。

動詞フレーズとは
文法に出てくる動詞フレーズとは、例えば「吃」は食べるという動詞ですが、中国語には「動詞+目的語」や「主語+動詞」などがどのまま動詞のように使うことができる場合があります。離合詞もその一つです。「吃饭」「出版」「夫妻吵架」などがそれにあたります。

     

3、経験相の否定文

「~したことがない」というよな否定文では、「没(有)」を用います。動詞の前に置き、その動詞に対して~したことがないという意味になります。上述したように、「从来+否定+動詞+过」のような形でもよく使われます。

文法:主語+ 没(有)+動詞+过+(目的語)
wǒ méi qù guò jiàn shēn fáng 。
健身房。
ジムには行ったことがない。
jí shǐ wǒ zhù zài dōng jīng ,
 wǒ méi jiàn guò yì rén 。
即使我住在东京,我艺人。
東京に住んでいても、
有名人には会ったことがない。

「これまでに~したことがない」というような、副詞を用いたよく使われる表現もあります。「从来+否定+動詞+过」のような形で使われます。

wǒ cóng lái méi yǒu zhěng róng guò 。
从来没有整容
私はこれまでに一度も美容整形をしたことがない。

    

4、経験相の疑問文

経験の疑問文には、大きく分けて4つあります。フレーズを覚えてしまい、どのパターンも使えるようにしておくとよいでしょう。

①「吗」を用いた諾否疑問文
②文末に「没有」を置く疑問文
③「吃过没吃过」のように反復させる反復疑問文
④疑問詞疑問文

特に、反復疑問文は文型だけみるとややこしいですが、使い方に慣れてくるとより面白くなりますし、会話の中でも使われてたりしますので、覚えておきましょう。

文法1: 主語+動詞+过+(目的語)+吗?
nǐ qù guò zhōng guó má ?
你去过中国吗?
中国へ行ったことがありますか?
nǐ lái guò rì běn má ?
你来过日本吗?
日本に来たことがありますか?

行ったことがあるは「去过」、来たことがあるは「来过」を使いましょう。また、文末に「没有」をつけて疑問文を作ることもできます。

文法2: 主語+動詞+过+(目的語)+没有?
nǐ qù guò zhōng guó méi yǒu ?
你去过中国没有?
中国へ行ったことがありますか?
nǐ hē guò pǔ ěr chá méi yǒu ?
你喝过普洱茶没有?
プ―アール茶を飲んだことがありますか?

反復疑問文の中で、一度目の「过」は省略されることがありますので、覚えておきましょう。動詞と動詞の間に「没」を入れて反復させます。

文法3: 主語+動詞+(过)+没+動詞+过+(目的語)?
nǐ qù guò méi qù guò zhōng guó ?
你去过没去过中国?
中国へ行ったことがありますか?
nǐ pào guò méi pào guò wēn quán ?
你泡过没泡过温泉?
温泉に入ったことがありますか?

よく、反復疑問部で最後に「吗」を付けてしまう人がいますが、間違えないようにしましょう。

疑問詞疑問文の場合は、聞きたい箇所に「谁(誰)」、「什么时候(いつ)」、「哪里(どこ)」、「什么(何)」などの疑問詞を入れていきます。

文法4:聞きたい箇所に疑問詞を付け加える
nǐ qù guò něi gè guó jiā ?
你去过哪个国家?
どこの国に行ったことがありますか?

      

5、終結・完了の「过」について

経験を表す「过」には、もう一つ大切な意味があります。それは、動作の終結や完了を表します。語気助詞の「了」と一緒に用いられ、「~した」「~が済んだ」という意味を表します。完了の「~した」に比べて、「~し終わった」というニュアンスが強いです。

また、経験では、「了」はくっつかないので、もしも「过」「了」が使われていたら、それは終結・完了の意味であることが多いです。

(1)基本の文型

「了」は文末にきます。動詞の後に「过」をおき、文の最後に語気助詞の「了」をおきます。

文法:主語+動詞+过+了
wǒ chī guò le 。
我吃过了
食べたよ。
lǎo shī lái guò le 。
老师来过了
先生がやってきた。

    

(2)否定文の作り方

この終結・完了の否定文では、「~してない」つまり、終結・完了していないことになるので、動詞の前に「没(有)」を置き、「过」はなくなります。最後に「了」ではなく、「呢」を用いることがあります。また、「还没(有)(まだ~ない)」もよく使われます。

文法:(主語)+没(有)+動詞+呢
你吃饭过了吗
ご飯は食べましたか?
⇒还没吃呢。
まだ食べていません。
考试结束过了吗
試験は済みましたか?
⇒我还没有结束。
まだです。

(3)疑問文の作り方

「过」の終結・完了を表す疑問文では、文末に「吗」を置きます。よく「过了吗」のような形で用いられることが多いです。

bǐ jì shàng xiě guò le má ?
笔记上写过了吗
ノートに書きましたか?
bǐ sài jié shù guò le má ?
比赛结束过了吗
試合は終わりましたか?

「过」には他にもいろんな意味があります
「过」には、他にも「过马路」のように動詞で「過ぎる、通過する、渡る」といった意味があります。文章の中でどの意味で使われているのか判断しなければなりません。また、方向補語と一緒に「过来(来る)」「过去(行く)」のように使われることもよくあります。

   

6、 将然相(要…了)

6、将然相とは

中国語では、「もうすぐ~する」のように将来の状態を表すときに「要+了」を用います。副詞と一緒に用いられることも多いので、よく使う副詞を一緒に覚えておきましょう。

     

(1)基本の作り方

将然相の「もうすぐ~する」や「まもなく~する」という文章には、「要」と「了」を使います。

文法1:主語+要+動詞(動詞フレーズ)+(目的語)+了
xīn chē mǎ shàng yào lái le 。
新车
新車がもうすぐ来ます。
liè chē yào chū fā le 。
列车出发
列車が出発します。

副詞と一緒に用いられる場合は、 「快kuài(すぐ)」「就jiù(もう)」 などがよく使われます。その場合、「要」の前にそのような副詞を置きます。
就jiù」は時間的な要素が含まれている文章に用いられます。

文法2:主語+副詞+要+動詞(動詞フレーズ)+(目的語)+了
wǒ de diàn nǎo kuài yào méi diàn le 。
我的电脑快要没电
パソコンの充電がなくなりそう。
xià tiān jiù yào dào le 。
夏天就要
もうすぐ夏が来る。

(2)疑問文の作り方

将然相の「もうすぐ~する」の疑問文では、文末に「吗」をつけるのが一般的です。

文法1:主語+要+動詞(動詞フレーズ)+(目的語)+了 +吗?
kuài yào xià yǔ le má 。
快要下雨了吗
雨が降りそうですか?
xīn de jiā kuài yào wán chéng le má ?
新的家快要完成了吗
新しい家はもうすぐ完成しますか?

    

 ポイントはここだ!



中国語の経験相の「过」

1、基本形は、「主語+動詞 + 过 + (目的語)」となります。
2、数量詞や副詞と一緒に用いるときには、それぞれどこに入るのか語順に注意しましょう。
3、否定文では「没(有)」を用い、疑問文では4種類あり、文末「吗」を置く諾否疑問文、文末に「没有」を置く方法、反復疑問文、疑問詞疑問文があります。

終結・完了の「过」
1、基本形は「主語+動詞+过+了」となります。必ず語気助詞の「了」と一緒に用いますので、経験との違いに注意しましょう。
2、否定文では、「没(有)」を用い、疑問文では文末「吗」を置く諾否疑問文が用いられます。

将然相の「要~了」
1、「もうすぐ~する」という形の将然相の基本形は、「主語+要+動詞(動詞フレーズ)+(目的語)+了」です。
2、疑問文では文末「吗」を置く諾否疑問文が用いられます。