中国語の家族・親戚の呼び方のまとめ(発音付き)
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【はじめに】
皆さん、こんにちは!
突然ですが、皆さんの家族、親戚は全員で何人いるでしょうか?そして一人ひとりのことを名前で呼ぶことはあっても、正しい呼び方つまり呼称が何かご存知でしょうか?例えば、いとこの子供はなんと呼ぶか。実際そこまで気にせず、名前で呼び合ったりするのが普通だと思いますが、この際ぜひ家族全員の顔を思い出してみて、一人ひとりの正しい呼称は何か整理してみてはいかがでしょうか?「こういう呼び方だったの!?知らなかった!」なんてことがあるかもしれません。ちなみに、いとこの子供は「従甥(じゅうせい・いとこおい)」、「従姪(じゅうてつ・いとこめい)」です。一般的に使わないと思いますが、豆知識程度でぜひ覚えてくださいね。
ただでさえ日本語でも知らない呼称が多いですが、人口大国である中国では一体どのような呼称になっているでしょうか?本日は遠い親戚までではなく、日常的にも接するであろう三、四親等くらいまでの呼称をまとめました。日本とは少し違った独自の文化背景を反映した呼称を基本的な法則とともにご紹介いたします。
【呼び方の基本的な法則】
中国では家族間の呼び方で日本と異なる点がいくつもあります。一番明確な違いは父方と母方の親戚はそれぞれで呼称が違います。
筆者は中国出身のため、幼少期から何一つ違和感なく父方と母方の親戚を区別するよう呼んでいましたが、来日後日本語を勉強した時、父方と母方両方の祖父母のことを「おじいちゃん」、「おばあちゃん」と呼ぶことにかなり衝撃を受けました。これではどっちが父方であり、どっちが母方であるかはわからないじゃないか。他人に説明する時、わざわざ「父方の」などとつけるのは面倒ではないか。「いとこ」に関しては男女・年齢の上下関係なく「いとこ」でまとめてしまう、これではその「いとこ」が男なのか、女なのか、年上か、年下か、何一つわからないじゃないか。
日本で長く生活していく上で、そこまで明確に表さなくても特に問題はないと感じるようになりましたが、やはり直接な呼称を持つ中国語の方が便利に感じる時はあります。本セクションでは中国の呼び方の基本的な法則についてご紹介します。
① 目上の親戚は名前で呼ばず、必ず呼称で呼ぶ
儒教の教えのうちの「礼」による影響で、目上の人を敬う風習がかなり強くあります。そのため、目上の親戚に対して名前を前につけて呼称で呼ぶことはあっても、「〇〇ちゃん」といったあだ名で呼ぶことは失礼にあたるとし、厳しく注意されます。中には年が近い年上のいとこやきょうだいに対して名前やあだ名で呼ぶことはありますが、やはり一般的には呼称で呼ぶのが多いです。
② 父方、母方ごとに明確に呼称が異なる
日本の場合、父方、母方による呼称の区別はほとんどありませんね。祖父母は「おじいちゃん、おばあちゃん」、おじ・おばは年齢関係によって「伯父・叔父・伯母・叔母」、孫は男女関係なく「孫」とするなど、中国に比べると明確な違いがさほどありません。一方で中国の場合、父方の祖父母は「爷爷」「奶奶」、母方は「外公」「外婆」というふうに明確に呼称が区別されています。
その背景として、中国には「本家(běn jiā)」と「亲家(qìng jia)」という概念があります。「本家」とは、男性側の血筋、「亲家」とは女性側の血筋のことを指しています。女性は男性に嫁ぐので家族から離れるため、一家の後継にふさわしいのは男性と考えられています。このことから、内に留まる男性に比べ他所へ行く女性側のことを「外〇〇」とつけられました。孫も同様に「外孙」「外孙女」となります。
少し脱線しますが、中国では結婚しても夫婦別姓です。そして子供は父親の苗字をもらうことが一般的です。内に留まる男性が「本家」の血筋を後世まで続かせるためです。
日本の皇室でも皇室典範により、皇位の継承は父方に天皇の血を引く「男系男子」のみと定められているように、この考え方自体は日本でもありますね。
③ 複数人いる場合、大きい順に数字をつけて呼ぶ
言わずと知れた人口大国の中国では、家族数も多いですが、一家族に占める親戚の数も多いです。筆者の母の兄弟姉妹は五人、それぞれ子供が二人以上おり、その子供もまた二人以上いるように、同じ世代に属する親戚でも年齢によって、それぞれに数字をつけて呼び方を変える必要があります。一例として、筆者には三人のおばがいて、年上順に「大姨」「小大姨」「三大姨」と呼び方を変えています。また別の例として、一番末っ子に該当する親戚の場合「末〇〇」とすることもあります。
④ 目下の親戚は呼称で呼ばず、直接名前で呼ぶことが多い
①では目上の親戚に対して必ず呼称で呼ぶと紹介しましたが、逆に目下の親戚に対して呼称で呼ぶことはほとんどなく、直接名前で呼ぶことが多いです。
ただし、一つだけ注意すべきことがあります。それは、たとえ年下の親戚であったとしても、世代が上の場合は必ずしも名前で呼んでいいわけではありません。
例)
父(長男) → ★(自分) → 息子①
:
叔父(末っ子) → いとこ①
上記の例の場合、父(長男)と叔父(末っ子)の歳がある程度離れていて、かつ父(長男)とその子供である★に子供ができる時期が早く、★の息子①が叔父の子供よりも年上になる場合もあります。この時、いとこ①は息子①より年下だが、息子①はいとこ①のことを必ずしも直接名前で呼んでいいとは限りません。なぜならばいとこ①の世代は★と同じであり、息子①はさらに下の世代と見做されるからです。年齢の上下ではなく、世代の上下を重視しており、異なる世代間ではそれなりの尊敬の念を示す必要があります。ただ、現代においては上記のようなケースも少なく、たとえあったとしても例のように厳密に下の世代である息子①がいとこ①に対して呼称で呼ぶとは限らず、仲が親しければ名前同士で呼び合うことが多いです。基本的には家族間の信頼関係によって呼び方が変わってきますが、根本的にはこれまで紹介したような思想があります。
⑤ 呼び方はあくまでも一例であり、各家族ごとの独特の呼び方が存在する
③を見た方で疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。なぜ二人目、三人目のおばの呼び方が「二姨」「三姨」ではなく、「小大姨」「三大姨」だろうかと。
日本でも家族ごとに独特な呼び方を持っているケースがありますね。例えば、「おじいちゃん」や「おばあちゃん」のことを「じいじ」と「ばあば」と、少し砕けて呼ぶことがあります。このように、国ごとというよりも家族ごとに呼び方が変わってきす。
①〜⑤まで基本的な法則を見てきました。家族の形は様々あるので、必ずしも上記の法則が適応されるわけではありませんが、一般的には大きくズレることはないですね。
【呼称まとめ】
実際に家系図を使って体系的にまとめました。それぞれの関係性と実際の呼び方、そして簡単な説明を添えてご紹介します。
1.【関係】祖父(zǔ fù)【呼び方】爷爷(yé ye):おじいちゃん
父親のおじいちゃんの呼び方です。実のおじいちゃんではなく、他人のおじいちゃんを呼ぶ際にも”爷爷”を使うことができます。
2.【関係】祖母(zǔ mǔ)【呼び方】奶奶(nǎi nǎi):おばあちゃん
父親のおばあちゃんの呼び方です。
おじいちゃんと同様、他人のおばあちゃんを呼ぶ際にも”奶奶”を使うことができます。
3.【関係】外祖父(wài zǔ fù)【呼び方】外公(wài gōng)姥爷:おじいちゃん
母親のおじいちゃんの呼び方です。
他人のおじいちゃんを呼ぶ際、この場合”外公”は使えません。”爷爷”を使うのが正しいです。
4.【関係】外祖母(wài zǔ fù)【呼び方】外婆姥姥:おばあちゃん
母親のおばあちゃんの呼び方です。
おじいちゃんと同様、他人のおばあちゃんを呼ぶ場合”外婆”は使えず、”奶奶”が正しいです。
5.【関係】姑妈(gū mā)【呼び方】姑妈(gū mā):おばさん
父親の女きょうだいの呼び方です。
父の女きょうだいだけ、姉でも妹でも区別なく姑妈になります。複数人いる場合は数字や”大”、”小”をつけるなどして区別します。
6.【関係】姑丈(gū zhàng)【呼び方】姑丈(gū zhàng):おじさん
姑妈の旦那さんの呼び方です。
これも複数人いる場合は頭に区別する文字をつけます。
7.【関係】婶婶(shěn shěn)【呼び方】婶婶(shěn shěn)
叔叔の奥さんの呼び方です。
8.【関係】伯母(bó mǔ)【呼び方】伯母(bó mǔ)
伯父の奥さんの呼び方です。
9.【関係】叔父(shū fù)【呼び方】叔叔(shū shū)
父親の弟の呼び方です。
赤の他人の男性のことを「おじさん」と呼ぶように、中国語の場合でも家族以外の一般男性を呼ぶときに叔叔と呼びます。「警察叔叔」という表現は子供が警察官を丁寧に呼ぶときに使います。
10.【関係】伯父(bó fù)【呼び方】伯伯(bó bó)
父親の兄の呼び方です。
11.【関係】父亲(fù qīn)【呼び方】爸爸(bà bà)
父親の呼び方です。
こちらの呼び方は本当に多種多様で、「爹」「爸」「老爸」などがあります。「爹」は日本でいう「父上」に近い表現のため、現代ではあまり使われません。
12.【関係】母亲(mǔ qīn)【呼び方】妈妈(mā mā)
母親の呼び方です。
「ママ」これは世界共通の発音ですね。爸爸と同様、「娘」「妈」「老妈」などがあります。
「娘」の漢字は日本だと「むすめ」の意味ですが、中国ではお母さんの昔の表現になります。
13.【関係】舅舅(jiù jiù)【呼び方】舅舅(jiù jiù)
母親の男きょうだいの呼び方です。
父親の男きょうだいとは違い、年齢の上下で区別せずまとめてこのように呼びます。
14.【関係】舅妈(jiù mā)【呼び方】舅妈(jiù mā)
舅舅の奥さんの呼び方です。
15.【関係】姨妈(yí mā)【呼び方】姨妈(yí mā)
母親の女きょうだいの呼び方です。
舅舅と同じく、年齢の上下で区別しません。ここからでも中国において本家の男性側の呼称に重きを置いていることが伺えますね。
16.【関係】姨丈(yí zhàng)【呼び方】姨丈(yí zhàng)
姨妈の旦那さんの呼び方です。
17.【関係】表兄弟(biǎo xiōng dì)【呼び方】表哥(biǎo gē),表弟(biǎo dì)
いとこの呼び方です。
いとこの中でも関係の近さを区別しています。19だけ家系図的により本家に近しい関係のいとこであり、それ以外のいとこは「表〇〇」と表現します。
それ以外と言っても、男女、年齢の上下の区別はあり、ここでは男性のいとこを指しており、年上、年下それぞれ「哥」と「弟」をつけます。
18.【関係】表姐妹(biǎo jiě mèi)【呼び方】表姐(biǎo jiě),表妹(biǎo mèi)
いとこの呼び方です。
こちらも表兄弟と同じように、19に比べれば少し本家に遠いため「表〇〇」と表現します。
年齢の上下の区別はあり、年上、年下それぞれ「姐」と「妹」をつけます。
19.【関係】堂姐妹(táng jiě mèi)【呼び方】堂姐(táng jiě),堂妹(táng mèi)
いとこの呼び方です。
いとこの中で堂兄弟の次に近しい関係になります。年齢の上下の区別はあり、年上、年下それぞれ「姐」と「妹」をつけます。
20.【関係】堂兄弟(táng xiōng dì)【呼び方】堂哥(táng gē),堂弟(táng dì)
いとこの呼び方です。
いとこの中でも、ほとんど実の男きょうだいに近い関係のいとこになります。中国では本家の男性側に重きを置く傾向があるため、父親の男きょうだいの息子に該当するいとこはかなり近い存在とみなされます。より詳細に区別すると、息子が二人いる場合、年上の方が立場として上になります。ただその際呼称の違いはないため、数字あるいは大小をつけて区別します。「大堂哥」「二堂哥」。
21.【関係】嫂嫂(sǎo sǎo)【呼び方】嫂嫂(sǎo sǎo)
哥哥の奥さんの呼び方です。
22.【関係】弟弟(dì di)【直接叫名字】
弟の呼び方です。
23.【関係】哥哥(gē ge)【呼び方】哥哥(gē ge)
兄の呼び方です。
実の兄でなくても、非常に親しい相手や尊敬する相手に対して「哥」と呼ぶことも多いです。「〇〇哥」
配偶者の兄弟姉妹やその配偶者を呼ぶ際、「義理の〇〇」という表現はなく、実の兄弟姉妹のように呼びます。そのため21~28は実の兄弟姉妹でも、配偶者側でも区別なく呼ぶことができます。また、年下の場合は基本的に呼称で呼ぶことはなく、直接名前で呼ぶことが多いです。
24.【関係】弟媳(dì xí)【直接叫名字】
弟弟の奥さんの呼び方です。
25.【関係】姐姐(jiě jie)【呼び方】姐姐(jiě jie)
姉の呼び方です。
哥と同じように、非常に親しい相手や尊敬する相手に対して「姐」と呼ぶことも多いです。「〇〇姐」
26.【関係】妹妹(mèi mei)【直接叫名字】
妹の呼び方です。
27.【関係】姐夫(jiě fū)【呼び方】姐夫(jiě fū)
姐姐の旦那さんの呼び方です。
28.【関係】妹夫(mèi fū)【呼び方】妹夫(mèi fū)
妹妹の旦那さんの呼び方です。
29.【関係】侄子(zhí zi)【直接叫名字】
甥っ子の呼び方です。
注意すべきなのが、自分の男きょうだいの息子の場合のみ「侄子」になります。女きょうだいの息子はまた別の表現になります。この辺りが日本と異なる点です。やはり本家の思想が強いです。
30.【関係】侄女(zhí nǚ)【直接叫名字】
姪っ子の呼び方です。
男きょうだいの娘の場合のみ「侄女」になります。
31.【関係】媳妇(xí fù)【直接叫名字】
儿子の奥さんの呼び方です。
日本では単に「娘」や「義理の娘」という風になりますが、中国では明確な呼称があります。
32.【関係】儿子(ér zi)【直接叫名字】
息子の呼び方です。
33.【関係】女儿(nǚ ér)【直接叫名字】
娘の呼び方です。
34.【関係】女婿(nǚ xù)【直接叫名字】
女儿の旦那さんの呼び方です。
35.【関係】外甥(wài shēng)【直接叫名字】
甥っ子の呼び方です。
女きょうだいの息子の場合のみ「外甥」になります。「侄子」とは違うので注意が必要です。
36.【関係】外甥女(wài shēng nǚ)【直接叫名字】
姪っ子の呼び方です。
女きょうだいの娘の場合のみ「外甥女」になります。
37.【関係】孙女(sūn nǚ)【直接叫名字】
孫の呼び方です。
こちらは息子の孫娘です。ここでも男女を区別しています。ここまで来れば年齢の上下までは厳密に区別しません。
38.【関係】孙子(sūn zi)【直接叫名字】
孫の呼び方です。
それも息子の孫息子です。ここでも本家の思想が影響しており、男性側と女性側を区別していることがわかります。
39.【関係】外孙(wài sūn)【直接叫名字】
孫の呼び方です。
ここまで来ればなんとなくお分かりでしょう。「外」がついているので女性側と判断できますね。娘の孫息子を指しています。
40.【関係】外孙女(wài sūn nǚ)【直接叫名字】
孫の呼び方です。
こちらは娘の孫娘です。
家系図をもとにそれぞれの関係性、呼び方について紹介してきました。かなり種類が多く、細かいニュアンスの違いに少し驚いたのではないでしょうか。
中国では「本家」側に属する人の方が相対的に優位に立ちます。図中 で示した人は「本家」そのものに属する人で、 で示した人はそれ以外の人になります。兄弟姉妹がいる場合、どうしても男兄弟かつ長男の方が相対的に権限が強いです。そのため、後継問題に遭遇したとき、往々にして長男あるいは長男側の方が有利になります。例えば が父親の兄の子供で自分よりも年下であっても、長男である伯父の方が権限が強いため、その子供である も自分よりも相対的に優位に立つことができます。
中国では「本家」思想が強く、それに沿った呼称、優先順位づけが広く浸透しています。
【おわりに】
いかがでしょうか。細かすぎる中国の呼称に多少混乱したのではないでしょうか。実は筆者の
親戚はこれよりもさらに細かくいて、たまになんと呼べば良いのか分からなくなってしまうこと
が多々あります。祖父の弟の長男の息子や、祖母のいとこの子供といったような。もうそこまで
いったらもはや赤の他人だと捉えることもできますが、実はそれらにもしっかり呼称があったり
します。
このように呼称というのは実に奥深く、また私たちに家族の大切さ、親戚関係の広さを再認識
させてくれます。ぜひこの機会にみなさんの親戚全員を思い出してみて、一人ひとりの正しい呼称
を再確認してみてはいかがでしょうか。
ではまたお会いしましょう!
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