第20課 「把」構文

今回は、中国語の介詞(前置詞)「把」を用いた構文についてご紹介します。この「 把 」は目的語動詞の前にもってくる単なる介詞だと思っている人も多いはずです。しかし、実は、そんなに単純なものではありません。どのようなときに、使うことができるか、またどの動詞と一緒に使うことができないかなど、ルールがあります。ぜひこの機会にじっくり勉強して、その用法をマスターしましょう!

もくじ
1、「把」構文とは
(1)「把」構文の肯定文
(2)「把」構文を作ることができるとき
2、「把」構文の用法について
(1)動詞について
(2)目的語について
3、「把」構文の否定文について
4、「把」構文の疑問文について
ポイントはここだ!

1、「把」構文とは

1、「把」構文とは

動詞が文中の目的語に対して、処理、処置、結果、強調などを表すときに、介詞の「把」を用いて、目的語を動詞の前に置くことができる構文のことです。

「把」構文は、肯定文だけでも色々なルールがあります。以下のことに気をつけて勉強しましょう。

■「把」構文の語順
■「把」構文をつくることができる文
■「把」構文の動詞と目的語のルール
■「把」構文の否定文と疑問文

    

(1)「把」構文の肯定文

「把」構文とは、介詞の「把」を用いて、処理、処置、結果や目的語自体を強調したいときに、目的語を動詞の前にもってくる文のことを言います。まず大切なことは、中国語の基礎的な語順である「主語+動詞+目的語」の語順が、「把」が加わることで、「主語+把+目的語+動詞(※動詞に注意:後述)」の語順になることです。


動詞の部分は、後述しますが、動詞それ単体で用いることはできませんので、とても注意が必要です。また、目的語についても、ルールのようなものがありますので、こちらも理解しておきましょう。

文法:主語+「把」+目的語+動詞(動詞節)

例:主語(省略)+把+目的語+動詞+補語
         把+这些资料+拿+去

「把」構文日本語
qǐng bǎ zhèi xiē zī liào ná qù 。
这些资料拿去。
こちらの資料をお持ちください。

例:主語+把+目的語+動詞+場所+了
   我+把+那本书+放+在桌子上+了

「把」構文日本語
wǒ bǎ nà běn shū fàng zài zhuō zǐ shàng le 。
那本书放在桌子上了。
私はその本を机の上に置いた。

    

(2)「把」構文を作ることができるとき

実は、この便利な「把」構文ですが、何でも目的語を前に持ってくることができるというわけではありません。動詞と目的語の関係、また文の意味あいや目的語の使い方によって、「把」構文にすることができる場合が決まっています。以下、詳しくみていきましょう。

✅動詞が目的語の処置・処理になっている

「把」構文で多いのが、この「処理、処置」「結果」です。「把」構文では、「(目的語)を(動詞)する(した)」というように、動詞が目的語をどう処理したか、どう処置したか、どのような結果かを表します。例えば、「我把你的车马上开过去」の場合、目的語の「あなたの車」をどうするかというと、「持って行く」という処置をしているわけです。このように、目的語と動詞の関係で、「把」構文を作ることができます。

wǒ bǎ nèi xiē zī liào quán bù dū diū le 。
那些资料全部都丢了。
あの資料を全部捨てました。
tā bǎ zì jǐ de qián bāo fàng zài yǐ zǐ shàng 。
自己的钱包放在椅子上
彼女は自分の財布を椅子の上に置いた。

✅思い通りにならない事柄を述べる

「把」構文を作ることができる文として、もう一つは、思いもよらない出来事や思い通りにならない事柄についての文です。日本語に訳したときに、「~を~してしまった」「~は~してしまった」という意味合いが大きい文章です。例えば、「我把你的书弄丢了,对不起」は「あなたの本を失くしてした」というよりは、「あなたの本を失くしてしまった」という意味になります。

bǎ yǎn jìng nòng huài le 。
眼镜弄坏了。
メガネを壊してしまった。
bǎ bō lí dǎ suì le 。
玻璃打碎了。
ガラスを割ってしまった。

✅文の中で目的語を強調したいとき

もう一つは、目的語を「把」を用いて動詞の前に持ってくることで、目的語を相手に強く強調したいときに「把」構文を使います。例えば、「把这个送给你吧」は、日本語に訳すと「これをあなたに贈ります」だけですが、意味合いとしては、相手に何がほしいか聞いて、色々迷って、他の物と比べて、「(あれでもなく、それでもなく)これを、あなたに贈ります」というようになります。

wǒ bǎ zhè gè mǎi huí lái le 。
(你买了什么?)我这个买回来。
(何を買ったの?)これを買ってきたよ。
wǒ bǎ zhè gè mài diào 。
这个卖掉。
これを売ってしまった。

     

2、「把」構文の用法について

実は、この「把」構文は、上述したように使うときの意味があるのに対して、さらに用法も複雑です。動詞は、単体では用いることができません。例えば、「×我把这个东西送」「〇我把这个东西送给你」というように、動詞の「送」だけでは「把」構文は成立しません。そこで、以下どのような品詞と一緒に用いることがよくあるのかをまとめましたので、ぜひ覚えておきましょう。

    

(1)動詞について

「把」構文の動詞は、以下のような介詞、補語、助詞などと一緒に使うと成立します。また、動詞自体を重ねる方法もあります。

□「在」と一緒に

よく使われるのが、「放在」です。「~を~に置く」という意味です。また、動詞と一緒に「在」をくっつけて、「~に~する(した)」という使い方もよくします。

wǒ bǎ shǒu fàng zài nǐ de tóu shàng 。
手放在你的头上。 
手をあなたの頭の上に置く。
wǒ bǎ shū wàng zài péng yǒu de jiā lǐ le 。
书忘在朋友的家里了。
友達の家に本を忘れてしまった。

□動量詞と一緒に

動量詞とは、「一回」「一遍」「半分」など動詞に対して何度、どのくらい行ったかを表す量詞です。動量詞ですと、動詞を単体で使うことができます。

nǐ mén tīng yī xià , wǒ bǎ nà gè shuō yī biàn 。
你们听一下,我那个说一遍。
聞いて、そのことをもう一度言います。
qǐng bǎ nà gè pín guǒ qiē yī bàn 。
那个苹果切一半。
そのリンゴを半分に切ってください。

□動詞を重ねて

動詞を重ねる方法は、「ちょっと~する」のような意味で使うこともありますが、今回の場合は、単体で動詞を使わないために用いられる用法です。

bǎ mén kāi kāi。
门开开。
ドアを開けて。
qǐng bǎ zhè lǐ dǎ sǎo dǎ sǎo 。
这里打扫打扫。
ここを掃除してください。

□補語と一緒に

「把」構文では、動詞+補語の形がとても多いです。動詞を単体で用いることができないので、「来」「去」などの補語とよく一緒に用いられます。

bǎ qiú jiǎn qǐ lái 。
球捡起来。
ボールを拾って。
wǒ bǎ tā dài qù xué xiào 。
他带去学校。
彼を学校へ連れて行く。

□「了」や「着」と一緒に

助詞の「了」や「着」とも一緒に用いられます。特に「了」は、目的語がどうなったかを表す完了の形を作ることができるので、「把」構文では「了」もよく使われます。

wǒ bǎ zhè gè dōng xī mǎi lái le 。
这个东西买来了。
これを買ってきたよ。
nǐ bǎ qián dài zhuó má ?
钱带着吗?
お金を持っていますか?

「把」の様々な意味
この「把」という中国語には、様々な文章で使われます。例えば、動詞としては「握る」「接近する」といった意味があります。また、量詞としても傘などの取っ手のあるものを数えるときに使います。そして、今回の介詞としての役割もあります。

     

(2)目的語について

動詞だけでなく、目的語にも実は決まりのようなものがあります。このように、「把」構文は実はとても複雑な内容のものです。目的語については、

□目的語が特定できるもの

目的語は、話をしている自分と相手がそれぞれ、その目的語に対して特定できるものでなければなりません。例えば、「雑誌」は雑誌でも、「その雑誌」となると、お互いがどのような本か理解できていますが、「私は本屋で一冊の雑誌を読んだ」という文だと、どの雑誌を見ているのかも分かりませんよね。

bǎ zhè gè tǔ dòu qiē le 。
这个土豆切了。
このジャガイモを切りました。
bǎ nà gè sòng gěi nǐ 。
那个送给你。
あれを君にプレゼントするよ。

□目的語が文の主語のような働きをしているとき

目的語の強調と似ていますが、文の中で主語のような働きをすることがあります。そのようなときにも、「把」構文で目的語を動詞の前に置くとことができます。

bǎ shēn tǐ nòng huài le má ?
身体弄坏了吗?
体は大丈夫ですか?
bǎ zhè gè zuò wéi lì wài 。
把这个作为例外。
これは例外です。

「把」構文をマスターする勉強法
この「把」構文は、中国語の会話、文章など多くの場面でよく使われている表現です。ですので、マスターするととても便利ですし、中国語の能力をさらにアップさせることができます。中国語の中によく出てきますので、ぜひドラマ、動画、本、ニュースなど、中国語に触れる中でどのように使われているのかを見て、聞いて、話して、覚えてほしいと思います。

    

3、「把」構文の否定文について

「把」構文の否定文では、「把」の前に「不/没」を置きます。目的語の前に持ってくるのが何か変わった文型でもありますが、日本語にすると、後半の動詞自体を否定することになります。動詞の前ではなく、目的語の「把」の前に置くということを覚えておきましょう。

文法: 主語+不/没+把+目的語+動詞句(+目的語)
qǐng bù bǎ nà gè shì qíng fàng zài xīn shàng 。
不把那个事情放在心上。
あのことを気にしないでください。
wǒ yī dìng bù bǎ nǐ de māo dài chū qù 。
我一定不把你的猫带出去。
絶対にあなたの猫を持ち出したりしません。

    

4、「把」構文の疑問文について

「把」構文の疑問文の作り方は、「吗」をつける諾否疑問文、疑問詞を入れる疑問詞疑問文があります。

諾否疑問文

kě yǐ bǎ nà zì diǎn jiè gěi wǒ má ?
可以那字典借给我
辞典を貸してもらってよいですか?
nǐ bǎ yīng yǔ dū wàng jì le má ?
英语都忘记了
(覚えた)英語全部忘れちゃった?

疑問詞疑問文

nǐ wéi shèn mǒ bù bǎ nà gè mǎi lái má ?
为什么那个买来吗?
なんであれを買ってこなかったの?
bǎ wǒ de shū gěi shuí le ?
我的书给了?
私の本を誰にあげたの?

    

 ポイントはここだ!



「把」構文について

1、「把」構文の基本形は、「把」+目的語+動詞(動詞句)です。
2、目的語を「把」を用いて動詞の前にもってくることができる文として、動詞が目的語の処置や処理になっていること、思いがけない出来事のとき、そして目的語を強調したいときです

「把」構文の用法
1、動詞は、単体で用いることができません。「在」「了」「着」や補語を用いて、また動詞を重ねたりして、使います。
2、目的語は、会話の相手とその目的語について特定できるものであること、そして目的語が主語のような働きをするものでないといけません。
3、「把」構文の否定文では、「不」「没」を用います。疑問文では、「吗」の諾否疑問文や、疑問詞疑問文があります。